1歳に反応がいい絵本とは? 絵本ナビ編集長がおすすめする人気絵本
絵本の情報サイト「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんが『絵本と年齢をあれこれ考える』エッセイ第2回
2022.04.28
絵本ナビ編集長:磯崎 園子
おはなしをリズムで味わう
『どんどこももんちゃん』(とよた かずひこ・作 童心社・)を読んでいる時の反応を見ていると、それがよくわかる。物語の大半は「どんどこ どんどこ」で進んでいく。
読み方のリズムや声色で、それがゆっくりなのか、急いでいるのか、あるいは坂道をのぼっているのかがわかる。大きなくまさんが登場すれば驚き、ももんちゃんが転んで頭をぶつければ、一緒に痛がっている。
そして最後にやっとママの腕の中に飛び込んだ時に、ようやくにっこり安心した顔をする。そうして「おしまい」と言って絵本を閉じれば……
「もういっかい!」
これが「はじめて物語を味わう」という体験なのだろうか。なんて豊かな感覚、大人の方が驚かされてしまう。
例えば『まるさんかくぞう』(及川 賢治、竹内 繭子・作 文溪堂)や『くまさん くまさん なに みてるの?』(ビル・マーチン・作 エリック・カール・絵 偕成社)には、色や形の名前が繰り返し登場する。
それなのに、その響きを何度でも心地よさそうに聞き、食い入るように絵を見つめているのである。
世界はどこまでも広がっていく
これは特別で、格別な体験だ。もちろん個人差があるので、急ぐことはないし、まだ歩かないからといって心配することもない。
それでも、この瞬間を迎えることは親にとっても大きな願い。
靴をはき、地面を踏みしめ、空中を飛び回るちょうちょを追いかける。突然顔を出したとかげを触ろうとして逃がし、ハトに近づけば一斉に飛び立ってしまう。
次に見えてきたのは、ベンチに寝ている猫。今度こそ……。そう、世界はどこまでも広がっている。この子には終わりなんて見えていないのだ。その時の驚きを忘れないようにしてあげなければ。
「自分の子の姿と重なる」「危なっかしい足取りをずっと見守っていたいような気持ちになる」寄せられたレビューを読みながら、改めて思う。
さて、次は歩き出し、会話が生まれてくる2歳。イヤイヤ期もはじまる。絵本との関わり方もガラッと変わってくるはず。お楽しみに!
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
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磯崎 園子
1974年、愛知県生まれ。 絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。 大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。 著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。 絵本ナビhttps://www.ehonnavi.net/
1974年、愛知県生まれ。 絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。 大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。 著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。 絵本ナビhttps://www.ehonnavi.net/