1歳に反応がいい絵本とは? 絵本ナビ編集長がおすすめする人気絵本

絵本の情報サイト「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんが『絵本と年齢をあれこれ考える』エッセイ第2回

絵本ナビ編集長:磯崎 園子

絵本と年齢をあれこれ考える「何かを言おうとしている」
絵本の情報サイト「絵本ナビi」編集長の磯崎園子さんが『絵本と年齢をあれこれ考える』エッセイです。

第2回目は1歳と絵本「何かを言おうとしている」。

「1歳の視点になってみたら」

「お世話」から「向き合う」育児へ
まだまだふっくらとしたおむつ姿の赤ちゃん、あるいはヨタヨタしながらも自分の足で歩く幼児の姿。これはどちらも1歳。

なにしろ成長・発達が著しく、見た目も月齢や個人差で大きく違いが出てくるのが、この時期の特徴である。

けれど共通して起こる大きな変化といえば、二本の足で立ち上がること。それから、何か言葉らしいものを発するようになること。これは本当に大きな出来事だ。

だってそれまでは一緒にいても、どこか受け身のように見えていた我が子が、急に好奇心の塊となって自分にせまってくる。感情をぶつけてくる。訴えかけてくるのだ。

親子の関わり方が、「お世話」というよりも「向き合う」と言った方がしっくりくるのも、この頃からかもしれない。

大きく変わる「1歳児の世界」

1歳児の広がる世界
当の本人になってみたらどうだろう。立ち上がった時の視界の広さ。自分で移動できることの喜び。窓の外の景色が見える。机の上のものに手が届く。

ずっと気になっていた扉を開けることができ、大好きなママやパパのところに自ら飛び込むことだってできる。そのママやパパが自分に何かを言っている。ご飯を食べさせてくれる。遊んでくれる。絵本を読んでくれる。

「なんて素晴らしい世界なんだ!」
そうは言わなくとも、満面の笑みが、可愛らしい笑い声が、バタバタさせる手足が物語っている。見ている大人は幸せな気持ちでいっぱいになる。よかったね。

……ところが、事態は一転。さっきまで朗らかに笑っていた我が子の表情がみるみる曇り、一瞬の静けさの後、どこかに向かって大爆発。大きな声で叫び、涙を流し、まるでこの世の終わりのような顔をするのだ(これも可愛いのだけれど)。

一体何が起きたのか。
1歳はまだまだ1歳。思うように歩けない。つかんでも落としてしまう。知らない味がする。嫌と思っても通じない。とにかく上手にできないことだらけなのだ。

ああ、もどかしい。何かを言おうとしている。せめてその気持ちが理解してあげられたなら。そして、お互いに思うのだ。
笑顔の赤ちゃん

「話がしたい!」

この切実な欲求は、感情だけでも、言葉だけでも、なかなか解消できないもの。

だけど、ここには絵本がある。何が好きなのかな、何が気に入らないのかな。

お互いのモヤモヤした気持ちの橋渡しとして大活躍してくれるのが、やっぱり絵本なのだ。
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