本当に気になる子育ての悩み「子どもがものを投げたりする危険な行為をやめさせたい」
子育てお悩みランキング12を多角的に検証! 第4回 井潤知美先生/高祖常子先生
2023.02.25
ライター:笹間 聖子
げんきの子育てお悩みランキングトップ12を多角的に検証!
悩みの多い育児の中でも、“本当に気になっている悩み”を12に絞り、それぞれを多角的に詳細に検証していくシリーズ連載です。
今回のお悩み
「子どもがものを投げたりする危険な行為をやめさせたい」
まずは、大正大学心理社会学部臨床心理学科教授で、公認心理師・臨床心理士の井潤知美先生の回答からご紹介します。
ものを投げたらママが来てくれた!
子どもの視点で見ると、ものを投げるという行動が、どういう役割を果たしていますか? 例えば、ものを投げたら親の注意を自分に向けることができた、というものです。ものを投げればママ・パパが、「危ないでしょ!」と声をかけたり、飛んでいったりしていませんか?
そうなると注意を引きたい子どもは、「ものを投げたらママ・パパが来てくれる」という成果が手に入るので、また同じ行動を繰り返します。ものを投げていないときにこそ、注意を向けましょう!
それを反対にして、静かに本を読んだり、ブロックで遊んでいるなど、親がいいなと思う過ごし方をしているときに、「ブロックですごいの作ったね」「面白そうな本を読んでるね」など、声をかけるように心がけてみましょう。
そして、お子さんが、「ものを投げるのはいけないことだ」とわかっていないなら、「ものを投げてはいけないよ」と静かに伝えましょう。
スマホ動画やおしゃべりはなるべく短時間に
退屈になって、親御さんの注意を引こうとするのかもしれません。その時、悪いことをしてママ・パパの気を引こうとしているならば、スマホやおしゃべりの時間を短めにすることも必要でしょう。
もちろんママ・パパが365日見なければならないというわけではありません。時にはご実家に預けたり、一時保育を使って、自分の時間を持つことも大切です。
おもちゃを貸したくないとき、誰かのおもちゃを欲しいとき
それはまだ「貸してあげる」「借りる」という行為がまだ十分に理解できていないときに起こります。もちろん投げてはダメですから、「待とうね」「貸してあげようね」などと口で伝えて、教えてあげるのも1つの手段です。
ただ、口で伝えてもまだよく理解できなかったり、なんのために貸し借りを我慢するのか分からず、ママ・パパの言うことを聞いてくれない発達段階の子もいるでしょう。
そういった場合は、あまり子どもがたくさんいるところには連れていかないとか、少人数で遊べるところに行くなど、安心して遊べる場所を親御さんが選んであげましょう。
でも、なかには「友達と遊びたい」という気持ちがまだあまり育っていなくて、「自分が好きなように遊びたい」という気持ちの方が強い子もいるのです。
「将来の園生活のためにお友達と遊ばないと」と思われるかもしれませんが、それは子どものタイプやその日の気分によっても変わるもの。様子を見て、選んであげてくださいね。
ものを投げないで要求を伝える「代替行動」を用意する
よく観察して、子どもが何を要求しているのか考えてみてください。それが分かったら、要求の内容を写真やイラストにして、カードを作るのもおすすめです。
よくある要求のカードを用意しておいて、それを決まった場所に置いておくのです。そして子どもに、「欲しいときにこれ持っておいで」と伝えて、要求の代わりに取る行動を教えます。これを、「代替行動」と言います。
カードを使ったコミュニケーションは、言葉の発達も促します。