「子どもの食べ物の好き嫌い」はどう直したらいい? 発達心理学の専門家が答えます

こんなときどうする?子育てQ&A#4「困っています、子どもの好き嫌い」

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毎日の食事、親は健康のためにといろいろ考えて作っているのに、好き嫌いされてしまうと困ってしまいますね。

発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「好き嫌いが多く、同じものしか食べない偏食の傾向があります。成長に影響しないか、心配です」(1歳・男の子)

偏食は成長に影響しない? 写真/Adobe Stock

今はまだ「食べる」ということに慣らす段階

1〜3歳はまだ「食べる」ということをはじめたばかり。食体験が少ないので、同じもののほうが安心して口に入れられるのかもしれません。

もちろんバランスよく肉も魚も野菜も食べることが理想的ですが、今はまだ「食べる」ということに慣らしている段階ですから、心配しなくてもいいでしょう。 

栄養バランスばかりにとらわれて「どうして食べないの?」と親がイライラすると、食事を「怒られる時間」と感じて嫌がるようになってしまいます。「食べることは楽しいこと」と、子どもが感じる食卓にできるといいですね。

「野菜が嫌いで、なかなか食べてくれません」(2歳半・女の子)

野菜が嫌いで、なかなか食べてくれない? 写真/Adobe Stock

調理法を変え、見た目や食感を工夫してみましょう

野菜嫌いの原因はさまざまで、じつは味が嫌いなのではなく、見た目や食感が苦手ということもあります。たとえば、サラダや茹で野菜などは食べなくても、キッシュにすると「ケーキみたい」と喜んで食べることもあるのです。

また、切り方や調理法によって食感が変わったら食べられた、ということも。「食べない」と決めつけず、実験気分でいろいろと試してみてください。

野菜のいろいろな味わい方を経験させていくと、だんだんと食べられるものが増え、自然と口にするようになるでしょう。

「ごはん、食パン、お餅、大根など、白いものしか食べず、色のあるものは口に入れてくれません」(2歳・男の子)

色のあるものは口に入れてくれない? 写真/Adobe Stock

栄養バランスよりも、幸福感を大事にしましょう

子どもは味覚が繊細で、食べ物に苦手意識を持ちやすいので「○○しか食べない」というようなお子さんは多くいます。ただ、食事の経験を積み重ねていくことで、必ず好みは変わっていきますから、子どもが食べたがらないものでも食卓には並べておきましょう。

周りの人がおいしそうに食べているのを見て、ある日突然パクパク食べるようになることもありますよ。「食べなさい」とプレッシャーをかけても、食欲にはつながりませんから、少し時間はかかりますが、焦らず見守りましょう。

心の成長を考えると、1~3歳には食事の内容よりも「おなかが減る、食べる、おいしい、あー幸せ!」という単純な経験を大事にしてほしいと思います。

「食べる」は生きるためにとても大切なこと。食事が幸せな時間になることで、心と体にしっかりとエネルギーが蓄えられるのだと思います。栄養バランスよりも、子どもたちが食べることで幸福感を得られるような食卓作りを、意識してみてください。

文/久世恵美 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経...

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトで...