子どもが乱暴なことをしたときどうする? 発達心理学の専門家が回答!
こんなときどうする?子育てQ&A#11「子どもが乱暴なことをしてしまったとき、どうする?」
2022.02.02
教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学):渡辺 弥生
まだ思いのまま体を動かす時期なので、このようなことはよくあり、気を揉む親御さんも多いでしょう。
「お友だちの顔をたたいたり、髪の毛をつかんだりしてしまいます。どう対処すればいいですか?」(2歳半・男の子)
気持ちを“言葉”にして説明してあげましょう
自分の思いを言葉にして伝えることができないので、手がでてしまったのでしょう。
1~3歳の子どもには、親御さんが「悔しかったんだね」などと、意識的にその子の気持ちを言葉にしてあげることが大切です。
すぐに理解はできませんが、何度も繰り返していくうちに、自分の感情と「悔しい」という言葉がつながって、相手に気持ちを伝えることができるようになります。
親御さんがやりがちな、子どもの髪をつかんで「ほら、痛いでしょ!だからやっちゃだめ」などと、暴力を体験させる「力によるしつけ」は恐怖心をうえつけるだけで、善悪を正しく学ぶことにはつながりません。
思いやりの心を育てるには「説明するしつけ」を大事にしてください。
「おもちゃのとりあいで、お友だちをぶったり、かんだりしてしまいます」(2歳・女の子)
ケンカを経験することも社会性の発達には大切です
気持ちが落ち着いたところで、「どうして乱暴なことをしちゃったの?」と話を聞き、「たたいちゃだめだよ」「相手の子も欲しかったんだね。でも、貸したくなかったんだね。次はどうぞって、言えるといいね」などと、冷静に説明します。
社会性の発達にはケンカを経験することも大切です。泣かせたり泣かされたりするうちに、「貸して」「いいよ」というマナーやルールが少しずつわかるようになります。
親御さん同士も、多少の子ども同士のトラブルは大事な学びの場ととらえ、お互いおおらかに対処できるといいですね。
「お友だちが使っているものを、無理矢理とろうとします。何度叱っても聞きません」(3歳・女の子)
できないことを叱るよりもできたときにほめましょう
親は、子どもが悪いことをしたときだけ怒り、静かに遊んでいるときは放っておきがちだからです。
お友だちと仲良く遊んでいるときもしっかり子どもに関心を向け、「おもちゃ貸してって言えたね。えらいね」などと、ほめてあげましょう。
できなかったときに叱るよりも、できたときにほめるほうが子どももうれしく、印象に残りますから、だんだんと行動も変わっていくでしょう。
文/久世恵美 写真/Adobe Stock
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
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渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。