「貸し借りをする」「順番を待つ」どう教える? 発達の専門家が回答
こんなときどうする? 子育てQ&A#77 「順番を待つ」ことや「貸し借り」のルールはどう教えたらいい?
2022.07.06
教育学博士:渡辺 弥生
ルールを守れる子になってほしいという親ごさんの気持ちもわかります。
「『順番を待つ』ことや『貸し借り』のルールはどう教えたらいい?」(3歳・男の子)
機会をとらえて少しずつ教えていくことから
1~3歳は発達面からいっても、独占欲が強く出る時期のうえ、「順番」という言葉の意味もまだ理解できません。
ママパパのイメージどおりに行動するのは案外難しいのです。
ケンカになったり泣いたりすることも多いでしょうが、ルールを覚える機会だと思って対応しましょう。
子どもたちが社会のルールとはじめて出あうのが友だち遊びの場。
そこでルールを守って楽しくお友だちと遊べるように、今は先行投資のつもりで、あせらずに、わかりやすい形で教えていくことが大事です。
具体的にはどんなふうにやっていけばいい?
できれば、なんとなくでも子ども自身が「そういうものなんだ」と、わかることが目標です。
そのためには、機会があるたびに「順番を待つ」ようすを見せたり、話して聞かせたり、体験させたりする積み重ねが必要です。
具体的には、
◆行列を見かけたり、並ぶ機会に
「並んでいるね。順番、順番だね」などと話してあげましょう。
また、遊園地や銀行のATMの利用時など、子連れで並ぶ場面では「ここも順番だね。待っていたら順番がくるよ。まだかな、まだかな」などと、楽しく言葉をかけてあげてください。
◆「順番遊び」をしてみましょう
①人形を並べて順番待ちのお客さんにして「電車ごっこ」。
順番のイメージがつくきっかけになります。
②色つきの積み木などを使い「1番すきなのは何色? 2番は? 3番は?」と子どもに選ばせます。
次に選んだ順に並べて「1番は赤! 2番は青! 3番は黄色!」などと遊べば、何度でもやりたがるでしょう。
◆貸し借りのときも「順番こ」で
子ども同士でおもちゃの取りあいがおきたらチャンスです。
「順番こで遊ぼうね。10数えたら交代よ」などと、ママパパが仕切ってあげましょう。
また、「貸して」や「どうぞ」などの遊びのマナーを教えていく機会にしてもいいですね。
◆よその子への対応
公園などでは、わが子に順番を教えていても、よその子が順番を無視することもあります。
そういうときは、明るく「これ順番でやろうよ~。並んで並んで」というように、ママパパが交通整理をしてあげてもいいのです。
それでも無視されたら、これは仕方ないと、わが子をほかの楽しい遊びに誘ってあげたらいいでしょう。
これらは、あくまでも一例ですが、子どもが楽しくルールを学べるチャンスを作ってあげたいですね。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
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渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。