子どもがおもちゃやものを投げる! その理由は? やめさせる方法は?
こんなときどうする? 子育てQ&A#66「すぐにキーっ! となって、ものを投げる子に、どう対応したらいいの?」
2022.06.10
教育学博士:渡辺 弥生
怒ってものを投げたり、ママやパパをたたいてきたり、足をバタバタさせて大泣きしたり……。
毎日のようにそれをやられるとたまりませんね。
「すぐにキーっ! となって、ものを投げる子に、どう対応したらいいの?」(3歳・男の子)
今のうちから、よい習慣を身につけさせてあげよう
「もしかして、なにか問題があるのではないか」と心配になってしまうこともあるでしょう。
でも、程度の差はありますが、幼児期の子どもはかんしゃくをおこすものなのです。
心配することも不安に思うこともありません。
ちょうど1~3歳は、自我は発達してくるのに言葉は未発達。
イヤな感情が湧いてきても、言葉でそれを伝えられません。
それで全身で不快感を表現するしかないのです。
実際、子どもは自分がどんな気持ちでキーッとなっているのかも理解できていません。
込みあげてくる不快感を単純に訴えているだけなのです。
対応するときは、3つのポイントをおさえて
最大の原因は「言葉で伝えられない」ことですから、そこをうまく伸ばしてあげるといいでしょう。
対応のポイントは次の3つです。
ポイント1 気持ちを代弁して、言葉を教えていく。
子どもに言葉を使えばいいことを根気よく教えていきましょう。
そのためには、子どもの気持ちの代弁、共感、説明が大事です。
たとえば、「もっと遊びたいのに遊べなくて悲しかったのね」「でも、おもちゃを投げると《イタイ、イタイ》しちゃうから投げてはだめよ」などと、わかりやすい言葉で教えましょう。
子どもが興奮していたら、膝に抱いたり、手を握ってあげたりして、落ち着かせてから伝えます。
◆自分でやりたいのに、うまくできない場合
「○○がやりたかったのに、できなくて悔しかったね」と共感して、「ものを投げるとあぶないよ。そういうときは《ママ、教えて》っていうといいよ。さあ、パパがここを持っているから、こうやってごらん」などとフォローし、「できた!」という喜びを味わわせてあげましょう。
ポイント2 危険な行為はその場ですぐに止める。
ただ、その前に、ものを投げるなど危険な行為は事前に止めることが必要です。
子どもの行動を見ていると、どんな場面でものを投げるのかがわかってきます。
「投げるとあぶないよ!」と伝えて、子どもを抱いてその場から離れるようにしましょう。
ポイント3 かんしゃくに動じない。
怒りを爆発させて思い通りになる経験が続くと、かんしゃくを繰り返すようになりやすいもの。
叱るのでも動じていいなりになるのでもなく、冷静に「悪いこと」「正しいこと」を言葉で教えていきましょう。
「困ったちゃん期」を経て成長していきます
でも決して悪い子だからではありません。
キーッとなるのも、表現方法はちょっと激しいですが、悔しい、悲しいなどの気持ちは、その子にとっての大事な感情です。
実際、ママやパパも小さなころは親にさまざまな心配をかけながら大人になってきたのではないでしょうか?
周囲の大人に叱られたりフォローしてもらいながら経験のなかで少しずつ覚えてきたことは多いはず。
今はママやパパを困らせてばかりかもしれませんが、「生き方の学習中」なのだと考えて大らかに見守り、その場に応じたベターな対応をしていってあげられると成長につながります。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
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渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。