「年齢別」図鑑で賢い子に育てる方法【脳科学者が解説】

「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て 『賢い子』は図鑑で育てる」の著者・瀧靖之先生に、「自分で夢を叶える賢さ」を育む方法を聞くシリーズ第1回。

ライター:笹間 聖子

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「年齢別 図鑑の活用法」
子どもには、できれば賢く育って自分の力で夢を叶えてほしいもの。「でもどうやったら、賢く育てられるのか分からない」というママ・パパのために、簡単に毎日に取り入れられる図鑑を使って“脳を育む”方法について、脳科学者で、東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生にお伺いするシリーズ連載です。

今回は、「年齢別 図鑑の活用法」についてご紹介します。

【0歳】絵本の読み聞かせをスタートする

幼少期から図鑑と触れることは、脳の発育にとてもおすすめです。ですがもちろん、0歳ではまだ図鑑は理解できません。まずは、絵本の読み聞かせから入るのがスムーズです。

耳からお話を聞き、絵を眺めることでだんだんと言葉と本に興味を持ち始めます
ママ・パパと接して温もりを感じながらの読書も、脳の成長に効果的

【1歳】好みの分野の絵本から図鑑へ

1歳ごろになると、絵本のなかでも「恐竜に特に興味を示す」「動物が好き」など、好みが分かるようになる子どもも出てきます。

そうしたら少しずつ好みの分野の絵本を読み聞かせていって、だんだんと図鑑に入っていかれるといいと思います。

【2歳~3歳】興味のある分野でリアルな体験を

目安としては、2歳ごろには図鑑を眺めることが好きになれているといいですね。

そして3歳ごろには、例えば恐竜なら博物館に行ったりDVDを見たり、虫なら公園で探してみたりして、よりリアルな体験を取り入れてあげてください。
図鑑を見る前後に、リアルな体験を挟むことでより好奇心が高まる

【4歳~】好奇心や理解を深める

リアルな体験をしてからもう一度図鑑を見ると、好奇心やその分野に関する理解も深まっていきます。

ただし、ここで注意しておきたいのは、もちろんその役割を果たすのは図鑑だけではなく、絵本や本でも大丈夫だということです。図鑑だけが全てではありません。

幼少期の読書体験が、将来の学業成績にプラスになっているという研究報告もたくさんあります。

だから、「絶対図鑑でなければダメ」ということではないのですが、ただ、図鑑はおもに自然科学、理系よりの科目にさまざまな興味・関心を持たせ、育てるうえで最高のツールだと私は思います。

「親が興味がある分野」から始める

もしも、子どもの興味の対象がまだよく分からないときは、ママ・パパの興味がある分野から始めるのがおすすめです。

例えば魚に興味があったら魚の図鑑から。星に興味があったら、星の図鑑から……。そうすれば、親自身がその面白さが伝えられるからです。
パパ・ママの興味のある分野は、子どもも好きになりやすい

脳に遺伝的要素はあるの?

親が興味があることを子どもが模倣して好きになることはよくあります。では、そういった趣味・趣向、そして脳の仕組みや傾向は、遺伝するのでしょうか?
脳の仕組みや傾向は遺伝する?
脳の領域によって遺伝率は異なりますが、現在の研究では、おおよそ5~7割程度、遺伝的要因があると言われています。ただし、「高次認知機能」と呼ばれる、考えたり、判断をしたり、記録したり、そういう領域での遺伝率は低いとされています。

つまり脳は遺伝的なものよりも、後天的な経験の影響を大きく受けるということです。

ですから、生まれてからの努力で、趣味・趣向、そして脳の発育についても、どれだけでも変えていくことができる……というのが今の脳科学的な結論です。
幼児期から、本に親しむ習慣づくりを

脳は何歳からでも発達させられる

これからのシリーズで、図鑑を使った脳の健やかな発育についてお話していきますので、どうぞご期待ください。

そして、ぜひ覚えておいていただきたいのですが、脳には「可塑性」(かそせい)といって、何歳になっても脳の神経細胞群が新たなネットワークを築き、生まれ変わる力があります。

つまり脳は、何歳からでも発達させられるということです。ぜひママ・パパも一緒に脳を成長させていきましょう!
もっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらもチェック!
「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て 『賢い子』は図鑑で育てる」著・瀧靖之
「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て 『賢い子』は図鑑で育てる」著・瀧靖之
写真提供:ピクスタ
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たき やすゆき

瀧 靖之

医師、医学博士

東北大学加齢医学研究所 教授/スマート・エイジング学際重点研究センター センター長 東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で、脳のMRI画像を用いたデータベースを作成。脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍する。読影や解析をした脳MRIは16万人以上。 『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て「賢い子」は図鑑で育てる』(講談社)、『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)ほか著書多数。

東北大学加齢医学研究所 教授/スマート・エイジング学際重点研究センター センター長 東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で、脳のMRI画像を用いたデータベースを作成。脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍する。読影や解析をした脳MRIは16万人以上。 『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て「賢い子」は図鑑で育てる』(講談社)、『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)ほか著書多数。