図鑑で賢い子に育てる「脳への働きかけ」【脳科学者が解説】
「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て 『賢い子』は図鑑で育てる」の著者・瀧靖之先生に、「自分で夢を叶える賢さ」を育む方法を聞くシリーズ第2回。
2023.07.08
ライター:笹間 聖子
テーマ
「図鑑でどうやって脳に働きかけるの?」
今回のテーマは、「図鑑で脳に働きかける方法」をご紹介します。
2歳になったら知的好奇心のサポートを
知的好奇心は、だいたい2歳前後から現れてくるものです。なぜなら2歳ごろになると、自分と外の世界、あるいは他人との区別がつくようになってくるからです。
それに伴って、「相手は自分と異なる心、機嫌を持つ存在である」ということも、だんだん分かってきます。すると、さまざまな人や現象に興味を持つようになるのです。
これが、知的好奇心のはじまりです。
見たり、聞いたり、感じたりする機会を作る
ですから、ママ・パパは「なにかに興味を持たせたい」と思ったら、その対象にできるだけ頻繁に接触させてあげましょう。
見たり、聞いたり、感じたりする機会を作ってあげることが大切です。図鑑の前に、まずはここまでが重要なことを、ぜひ覚えておいてください。
図鑑で名前を知り、関心を持つ
例えば白い蝶が飛んでいても、知識がなければ「ああ、白い蝶が飛んでいる」というだけで終わってしまいます。
でも、もしほんの少しでも、蝶の名前を知っていたら。同じ「白い蝶」でも、モンシロチョウもスジグロシロチョウもいて、モンキチョウのメスもいる……と知っていたら、「これはどの蝶だろう?」と関心を持てます。
“予習”と言っても、そんなに大げさなことではありません。興味・関心を持つための種をまいてあげるのです。
図鑑を一緒に読んで、好奇心を伸ばす種をまく
本当にさまざまな周囲の環境を模倣しますが、やはり一番は近くにいるママ・パパの模倣です。親が最も子どもの行動に影響を与えるので、この時期に図鑑を一緒に見る、その時間を作ってあげるだけでいいのです。
それこそが、好奇心を伸ばす種をまくということです。
子どものころの知的好奇心が、やがて脳の萎縮を抑える
なかでも、影響の大きいのは側頭葉と頭頂葉のちょうど間のあたり、耳の上ぐらいの場所である「側頭頭頂接合部」という脳の領域です。ここは、ワーキングメモリーやIQなど、考えたり判断をするために重要な領域だと言われています。
知的好奇心レベルが高い人は、こういった領域の萎縮、枯れを抑えられることが分かっていますので、小さなころにその種をまいておくことは、将来にも大いに役に立ちますよ。
「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て 『賢い子』は図鑑で育てる」著・瀧靖之
瀧 靖之
東北大学加齢医学研究所 教授/スマート・エイジング学際重点研究センター センター長 東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で、脳のMRI画像を用いたデータベースを作成。脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍する。読影や解析をした脳MRIは16万人以上。 『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て「賢い子」は図鑑で育てる』(講談社)、『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)ほか著書多数。
東北大学加齢医学研究所 教授/スマート・エイジング学際重点研究センター センター長 東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で、脳のMRI画像を用いたデータベースを作成。脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍する。読影や解析をした脳MRIは16万人以上。 『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て「賢い子」は図鑑で育てる』(講談社)、『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)ほか著書多数。