脳科学者が解説! リビングに図鑑を置くと賢い子に育つ?

「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て 『賢い子』は図鑑で育てる」の著者・瀧靖之先生に「自分で夢を叶える賢さ」を育む方法を聞くシリーズ第4回。

ライター:笹間 聖子

テーマ

「図鑑を子どもの生活の一部にする方法」
図鑑を身近な存在に
子どもには、できれば賢く育って自分の力で夢を叶えてほしいもの。「でもどうやったら、賢く育てられるのか分からない」というママ・パパのために、毎日取り入れられる図鑑を使った“脳を育む”方法について、脳科学者で、東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生にお伺いするシリーズ連載です。

今回は、「図鑑を子どもの生活の一部にする方法」をテーマにご紹介します。

「何気なく手に取れる場所」に置く

第1回で、『年齢別 図鑑の活用法』についてお伝えしましたが、図鑑を子どもの身近な存在にするには、お家の中での図鑑の扱い方も重要です。

おすすめは、図鑑を「特別なもの」だと扱わないこと。「生活の一部」にしてしまえばいいのです。

本棚にしまっておくというよりは、リビングのテーブルの上や寝室の枕元など、何気なく手に取りやすい場所に、「最近よく読む一冊」を置いておくのがおすすめです。

ちょっとした隙間時間にパラパラ読める環境にしておきましょう。
リビングのテーブルなら、いつでもサッと手に取れる
考え方としては、最近注目されている「リビング勉強」とほぼ同じです。図鑑を「当たり前に見るもの」だと意識付けするということです。

無理強いするのではなく、置いておくだけなのですから簡単ですよね。

「リビング勉強」も、「ご飯を食べ終わったら、何も考えずにサッとはじめられる」ところが、はかどるポイントになっています。

タブレットやスマホで読んでも同じ?

タブレットやスマホよりも、本の図鑑を読むほうが効果的
そもそも人間の脳は、コンテンツに触れたときのさまざまな状況・環境・情報と組み合わせて物事を考え、「この図鑑のこのへんに書いてあった」といった形で記憶します。

タブレットやスマホだと、同じ画面の中でスクロールして選んでいくだけなので、紐づけが難しく、記憶しづらくなる可能性もあります。

もちろん一長一短はあり、「タブレットやスマホのほうが旅行に持っていきやすい」など、良い面もあります。ただ脳科学的な見地から言えば、紙の本をおすすめします。

なにもたくさんの図鑑を家に置いておく必要はありませんよ。2~3冊でいいので、厳選した図鑑をぜひ身近においてあげてください。
知らなかった世界との出会いが待っているかも……!?
今は図鑑も、電子ブックやDVDなどさまざまな形がありますので、「かさばる本を置いておくよりも、タブレットやスマホで見たほうがいいのでは?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

ですが、私はあまりおすすめしません。タブレットやスマホは、リンクやアプリなど、別のコンテンツへの誘惑が多々あります。いわゆる「ネットサーフィン」的なことができてしまうので、集中できないのです。

また、ブルーライトなど光を浴びることで、夜に覚醒しやすくなってしまったり、特定の距離のものばかり見ることで目のピント機能が弱まり、「スマホ老眼」のような症状も引き起こす可能性があります。

親が手にとれば、子どもは「模倣」で手に取る

親子で図鑑を楽しむ
図鑑を子どもの生活の一部にするためには、親の行動も大切です。親が図鑑を手にすると、子どもは「模倣」して学ぶので、同じように手にとる機会が増えるからです。

「図鑑なんて大人が読んでもつまらない」と思われますか?

しかし現代は、急スピードで科学が進んでいます。例えば恐竜についても数年前に「羽毛がある種類がいた」という学説が広まり、すでに、羽毛のある恐竜が描かれた図鑑が発売されています。昔なら、「羽毛のあるティラノサウルス」なんて、考えられませんでしたよね。

このように、図鑑の内容も精度も、数十年前と比べて、非常に進化しています。久しぶりに図鑑を開かれたら、きっと驚かれますよ。
現代の図鑑は、大人が読んでも非常に楽しいものです。ぜひ積極的に、ご両親が楽しむ姿を子どもの前で見せてあげてください。

そして、子どもが声をかけてきたら親子で一緒に読む。これが、図鑑を子どもの生活の一部にするために、一番簡単で効果的な方法です。
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写真提供:ピクスタ
たき やすゆき

瀧 靖之

医師、医学博士

東北大学加齢医学研究所 教授/スマート・エイジング学際重点研究センター センター長 東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で、脳のMRI画像を用いたデータベースを作成。脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍する。読影や解析をした脳MRIは16万人以上。 『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て「賢い子」は図鑑で育てる』(講談社)、『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)ほか著書多数。

東北大学加齢医学研究所 教授/スマート・エイジング学際重点研究センター センター長 東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で、脳のMRI画像を用いたデータベースを作成。脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍する。読影や解析をした脳MRIは16万人以上。 『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て「賢い子」は図鑑で育てる』(講談社)、『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)ほか著書多数。