「なぜ?」「どうして?」子どもの能力を伸ばす対応のしかたとは?【脳科学者が解説】

「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て 『賢い子』は図鑑で育てる」の著者・瀧靖之先生に、「自分で夢を叶える賢さ」を育む方法を聞くシリーズ第5回。

ライター:笹間 聖子

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子どもの「なぜ?」に、脳科学的にはどう答えるのが正解?
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子どもには、できれば賢く育って自分の力で夢を叶えてほしいもの。「でもどうやったら、賢く育てられるのか分からない」というママ・パパのために、簡単に毎日取り入れられる図鑑を使って“脳を育む”方法について、脳科学者で、東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生にお伺いするシリーズ連載です。

最終回である今回のテーマは、「子どもから質問されたときの答え方」です。脳科学的な視点から、子どもの能力を伸ばす対応のしかたをご紹介します。

子どもと一緒に調べる、子どもに調べてもらう

突然、子どもから「これってどんな意味?」と質問されてどう説明しようか、戸惑った経験のある親御さんも多いのではないでしょうか。難しいことを子どもが理解できるように説明するのは、存外難しいものです。

例えば、「前方後円墳ってなーに?」といきなり聞かれてスラスラ説明できますか? 私はできません(笑)。

子どもは日々、周囲の人の会話から言葉を学んでいるもの。その都度、親がわからないことを一生懸命調べて、懇切丁寧に説明しなくても大丈夫です。
一緒に調べて理解し合う
では、浮かんできた疑問をどうやって解決するのか?

答えは、一緒に調べて理解すればいいのです。子どもの目線で一緒に考えていく。

もっと言うならば、子どもに調べてもらって、親が教えてもらう形にすると非常にいいですね。「ママ、パパも分からないから、あなた調べて教えて」とお願いするのです。

そしてそのツールとして、さりげなく図鑑や本をおすすめしてください。

自分で学んで人に教えることを習慣に

子どもは、普段は圧倒的に勝てない親に、「勝てるかもしれない」と思うとワクワクするでしょう。さらに、実際に教えられたら、「自分が親よりも知識を得た」という自信になります。

大人になると、「分からない事柄に対して、自分で調べて理解して説明をしなければならない機会」がたくさんありますよね。自分で調べる習慣を小さなころから身につけさせることは、とても素晴らしい教育だと私は思います。

特に小学生になって、わからない算数の問題の解き方などを自分で調べるようになれたら非常にいいですね。

私も息子の勉強をいつも見ているのですが、小学生でも進学塾の問題は非常に難しいです。そんなときは、息子に調べてもらい、解説してもらっています。

ぜひ「分からないことを、自分で学んで人に教える習慣」を、身につけてあげてください。
自分で学ぶ習慣を身につける

「知的好奇心」を育んで、学ぶ力を伸ばす

さて、この「図鑑で賢い子どもを育てる方法」シリーズは今回で終了となります。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

ご両親はぜひ図鑑を通して、お子さんの「知的好奇心」を育んであげてください。

「知的好奇心」は、新しい体験、新しい知識、不思議なものを「もっと知りたい」という欲求であり原動力
です。「知的好奇心」が、物事を探索していく力、疑問を解決する力、欲しいものを獲得していく力につながります。

これからの長い人生に不可欠な力が、「知的好奇心」に集約されているといっても過言ではありません。「知的好奇心」こそが、全ての学びの原点なのです。
自分で問題解決ができるようになるために

「実行機能」を高めて、人生を切り開く力を

人は、「何かを知りたい」という考えから、本や資料などを手にとって調べ、疑問を解決します。脳科学的にはこれを「実行機能」と言います。問題解決のために、「やること」あるいは「やらないこと」を考えて目標設定をして、実行して、試行錯誤しながら達成する能力のことです。

(ちなみに、「目の前においしそうなケーキがあるけれど、今ダイエットしているから食べるのを我慢する」のも「実行機能」です。)

「実行機能」は、学業成績と非常に深く関係しています。実行機能が高いお子さんは、さまざまな困難にぶつかったときにも、心が折れずに乗り越えることができるでしょう。

残念ながら私たち親は、子どもの人生に永遠に伴走することはできません。いつかは手を離さなければならない。

だからこそ、よりよく生きていくための知識や能力の種を、お子さんのなかに撒いてあげてください。
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写真提供:ピクスタ
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たき やすゆき

瀧 靖之

医師、医学博士

東北大学加齢医学研究所 教授/スマート・エイジング学際重点研究センター センター長 東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で、脳のMRI画像を用いたデータベースを作成。脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍する。読影や解析をした脳MRIは16万人以上。 『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て「賢い子」は図鑑で育てる』(講談社)、『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)ほか著書多数。

東北大学加齢医学研究所 教授/スマート・エイジング学際重点研究センター センター長 東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で、脳のMRI画像を用いたデータベースを作成。脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍する。読影や解析をした脳MRIは16万人以上。 『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て「賢い子」は図鑑で育てる』(講談社)、『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)ほか著書多数。