図鑑に載っていないカミキリムシ!? 専門家を魅了する「ヒラヤマコブハナカミキリ」とは?」

[ちょっとマニアな季節の生きもの]昆虫研究家・伊藤弥寿彦先生が見つけた生きもののふしぎ

昆虫研究家:伊藤 弥寿彦

昆虫研究家を虫の世界に引き入れたヒラヤマコブハナカミキリ

ヒラヤマコブハナカミキリ
今回紹介するヒラヤマコブハナカミキリは、MOVEの昆虫図鑑には載っていません。たぶん、他の学習図鑑でも載っていないはずなので知っている人は少ないでしょう。

体長 1.5センチほどのカミキリムシで 4月から5月の春先だけに現れます。近い仲間は日本におらず、ハナカミキリなのに花に来ないという変わったカミキリムシです。実はこの小さな赤いカミキリが、私が虫の世界へ深く入り込むきっかけとなった昆虫なのです。

ヒラヤマコブハナカミキリってどんな昆虫?

時は小学3年生、春の連休で埼玉県の正丸峠へハイキングへ行ったときに、ススキの葉っぱにとまっている赤いカミキリを採集しました。でも名前が全くわかりません。家に帰って持っていた図鑑で調べてもわからない。もうこうなったら…と母に頼んで思い切って国立科学博物館に電話しました。そこで紹介されたのが、当時「日本一の甲虫博士」として知られていた中根猛彦先生でした。標本を見てくださるといいます。

数日後、新宿にあった中根先生の研究室まで恐る恐る標本を持っていきました。
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