
一の谷博士によると、リリーの魔術は、人体に流れる電気を利用した催眠術だと考えられるらしい。一方、公演を終えたリリーは就寝するために、赤沼によって部屋に連れていかれる。しかし、そこはベッドがない楽屋の一室だった。すると、赤沼はオルゴールを流して、先程のようにリリーの視線を杖の先に追わせる。そうしているうちに、リリーは椅子に座ったまま眠りにつくのだった。
最近、夜になると不可解な事件や事故が多発していた。この日は、警備員が階段から落下したり、トラックの運転手が事故をおこすという事件が発生。被害者によると幽霊のような白い子どもを見たらしく、それぞれが持っていた懐中電灯と人形が盗まれていたらしい。
一の谷博士は、万丈目たちを集めると、一平を使った実験を見せる。それは、人体に流れる電気のプラスとマイナスのバランスを崩すことで、まるで幽体離脱のように人間の肉体と精神を分離させるというものだった。そして、先日のリリーのように幼い頃から催眠術を受けていればシナプスに異常が発生し、このように肉体と精神が分離しやすくなるという。一の谷博士は、一連の事件の犯人が分離したリリーの精神だと考えていたのだ。