復活のウルトラマンNo.6! 正統血筋のウルトラマンタロウ

『復刻版テレビマガジンデラックス 決定版 ウルトラマンタロウ超百科』の制作秘話

テレビマガジン編集部

『テレビマガジンデラックス  決定版 ウルトラマンタロウ超百科』が復刻! この『超百科』を編集し、復刻版の監修も手掛けたベテラン編集者Ⅰ氏が、約30年前・刊行当時の超秘話を明かします。
▲ウルトラマン ナンバー 6。兄弟で力を合わせて戦うことも  ©円谷プロ

歴史と人気ゆえの展開と変化

1991年のテレビマガジンは、それまでの主要な東映ヒーローを集合させた、『テレビマガジン デラックス7 変身ヒーロー超百科』を1月に発刊した。

そして2月には、円谷プロダクションの『ウルトラマン』や『ミラーマン』といった巨大ヒーローをメインにし、東宝やピー・プロダクション、宣弘社などの特撮作品までをもフィーチャーした『テレビマガジン デラックス8 スーパーヒーロー超百科』を発売している。

このラインナップは、テレビマガジン デラックスシリーズの1周年を記念する特別バージョンと考えて間違いはない。しかし、当時の現役のヒーローシリーズに超百科一冊の分量をもたせるだけのパワーが見込めないという編集部の不安を表明した展開でもあった。

ちなみに『スーパーヒーロー超百科』から、テレビマガジン デラックスの編成は、中面64ページとやや軽量化されている。それでも、これだけのページ数をダレることなく展開して読者を引き込めるヒーローは、当面は、ウルトラマン以外にはなかなかないだろうと認識されていたのである。

新たな展開

そのため、1991年5月9日、「テレビマガジン デラックス9」として、比較的下の年齢層の支持が厚かったヒーローを研究する『ウルトラマンタロウ超百科』が刊行されている。

この一冊も当時の編集長の思想から、カバーには講談社のスタジオで大島康嗣が撮影したクリアな特写スチールを使用している。ページ構成の手法としては既刊を踏襲、ウルトラマンタロウの各種スペックはもれなく解説し、迫力ある劇中スチールを大きく配置して、ある意味の細かい構成を追求はしても、リアリティを損ねない構成を展開している。
▲スタジオで撮影された特殊スチールは誌面にも  ©円谷プロ  ©円谷プロ
このタイトルが発売された1991年5月は『ウルトラマンG(グレート)』の後半、第8話からのリリースが開始された時期でもあるが、『テレビマガジン』本誌における『ウルトラマンG』のエピソード紹介は、島本和彦氏によるクオリティが高い連載漫画が担っていたため、『ウルトラマンG』単独のグラビア企画は企画されなくなった。

そのことにより、これ以降のウルトラマンの特集記事は、ウルトラマングレートというヒーローをメインに置いたイメージをフォローはしつつも、それまでのウルトラヒーローの魅力も加えてボリューム感を増加させ、さまざまなテーマで「ウルトラマンシリーズ」を特集する方向へと、シフトしていくことになるのである。
▲『ウルトラマンG』の単独グラビア(『テレビマガジン1991年5月号』)  ©円谷プロ/講談社

ウルトラマンの強さ

こういったテレビマガジン本誌特集の変化は、それまでに刊行した超百科によるウルトラマンの実績が、本誌に遡及したためと考えてもいい。最新のウルトラマンでなくとも、ウルトラマンはつねに実力を発揮できることが、それらの売れ行きにて証明されたのである。

そのため、ウルトラマングレートのキャラクター的な側面をほぼ紹介したと判断した時点で、過去に放送された『ウルトラマン』の歴史と多様性を活かすことでウルトラマン特集のパワーを増強させようという方向に誌面構成の舵を切っているのである。

そもそもテレビマガジン編集部は、「ウルトラマン」というキャラクターが帯びている魅力の普遍性を感知して『超百科』の刊行に踏み切ったわけであり、それをより強固に確信したのがこの時期なのである。
▲時代を問わず支持される「ウルトラマン」  ©円谷プロ

さまざまな解釈

以上のように、ウルトラマンは歴史あるヒーローゆえに長い間、雑誌や単行本をはじめとするあらゆる媒体に取り上げられている。

そして、その長い間にキャラクターに対する解釈がさまざまに変化していることもまた事実である。

放送当時と比べると社会全体の科学的知見はつねに向上しているわけだし、SF的な発想も日々、先鋭化している。そのような背景もあり、ウルトラマンをめぐる各種設定は、時期に応じて、より矛盾なき方向に変更される場合が少なくないのである。

ウルトラマンタロウにおいても、その流れに例外はなかった。

「ウルトラの国」が具体的に描写されたシリーズではあるが、のちの劇場映画『ウルトラマン物語』におけるウルトラの都市のビジュアルイメージが優先するようになったケースも見うけられる。この『超百科』においても、のちに更新された設定がいくつか見られる。
▲誌面に掲載された「ウルトラの国」(ページ中央)  ©円谷プロ
その反面、『超百科』の刊行後に設定が調整されたケースも当然あるわけだが、今回は復刻であるため、そのような部分もあえて変更しないままでの出版となった。そんな要素については、お楽しみとして確認してみるのもいいだろう。
『復刻版テレビマガジンデラックス 決定版 ウルトラマンタロウ超百科』定価:1650円(税込み)
©円谷プロ

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テレビマガジン編集部

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。