「頭にきたぜっ!」マルゥルがメフィラスに怒る! 話題の本を試し読み
ウルトラマン×基礎宇宙論=最良の科学入門書! 『ウルトラマンと学ぶ 宇宙と生命体』(高水裕一著)の1チャプターを連載形式でまるっと紹介!【最終回】
2022.06.20
「宇宙ガチャ」なるマシン(筐体)から出てくるヒーローや宇宙人、ときには怪獣(?)が講師役! 本書に登場する13体の講師のみなさんを、巻末カラー付録の表紙で紹介しちゃいます。
メフィラス先生の連載は、今回が最終回となります。
もう、出してくれ!
「おい、メフィラス星人さんよ、俺サマはまた気分が悪くなってきた。ウルトラマンゼットとバロッサ星人の逃走劇を見ていて気が紛れていたけど、今は、また頭に血が上ってきてる。」とマルゥル。
「僕も同じです。前より気分がすぐれません。」とあなた。
「誘拐されて、ここに閉じ込められた少年も苦しかったんだろうな。」とマルゥル。「きっと、死ぬかと思ったかもしれねーな。」
「はっはっはっ。」
「おい、笑っている場合じゃないだろ!」マルゥルは、まさに頭に血が上っているようです。
「いや、失礼。どうやら君たちに『宇宙酔い』が始まったようだ。それは『一番きつい』と言われていて、宇宙飛行士なら一度は必ず体験するものだよ。その症状は、強い吐き気が1日以上続くという。身体のバランスをとる、耳の中にある三半規管という部位が、無重力で浮いてうまく機能がとれないためだといわれているね。」
「講釈はいいから、はやくここから出してくれ!」
「そうだな。でも、もうひとつだけ。」
そういってメフィラス星人は、二人に玩具を手渡しました。
「これは、ハンドスピナーですね」
手の中で回して遊ぶおもちゃです。
ハンドスピナー
「なんでもするぜ。俺サマは今、藁にもすがりたい気持ちなんだ。」
さっそくマルゥルが遊んでみると……。
「うわああああああああ!」
なんと、玩具とともに回転しているのはマルゥル本人です。
前回は、「速度が止まらない」という法則を紹介しましたが、これは「回転が止まらない」という法則です。一度、宇宙空間で、回転してしまうと、近くにつかまるものなどがないと、その回転運動を止めることができません。
「宇宙では面白い現象がおきるのだ。」メフィラス星人は愉快な様子で話します。「ハンドスピナーを宇宙空間でやると、こうなるのだよ。」
「ちっとも面白くないけどな。早く止めてくれ!」とマルゥル。
地上では、ハンドスピナーを回している人の体が常に地面に接しているので、地面がブレーキをかけています。しかし、地面がない宇宙空間では、なんと、回している人自体が、ハンドスピナーによって逆に回転させられます。
面白いですね。
あんなに小さいハンドスピナーにまさか、体ごと回されてしまうとは想像もつきません。
宇宙飛行士にとっては、船外活動では命とりです。うっかり体勢を変えようと回転してしまうと、グルグルとまわりつづけて固定した姿勢を保てないからです。
「わかったわかった。無重力のことは、もう、身をもって知りました!」
マルゥルが怒ってそう叫ぶと同時に、マルゥルとあなたはどさっと床に落ちました。
「イテテ。」
授業が終わったので、メフィラス星人は無重力を解いたようです。それにしても、手荒い授業となりました。
「メフィラス星人! 俺サマは頭にきたぜ!」マルゥルは興奮して、今にも殴りかからんばかりです。
「マルゥル君」メフィラス星人は冷静に語りかけます。
「宇宙人同士、戦ってもしようがない。」
そう言い残すと、メフィラス星人はテレポーテーションをして、姿を消してしまいました。
メフィラス先生の講義は終了しました。
本書では、各チャプターの終わりに、次のような「まとめ」を記載していますので、学習に役立ててください。
マルゥルのまとめ
■宇宙での活動は、地球上と大きく異なり、さまざまなルールが存在する。
■宇宙空間で一度速度をもつととまらないし、回転もとまらないので注意する。
■メフィラス先生は、意地わるっ!
メフィラス星人のアルバムはこちら。
『ウルトラマンと学ぶ 宇宙と生命体』試し読み連載 を読む
▼著者 高水裕一先生の記事はこちら
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga