逃げ切れるのかっ? バロッサ星人逃走中! 話題の本を試し読み!
ウルトラマン×基礎宇宙論=最良の科学入門書! 『ウルトラマンと学ぶ 宇宙と生命体』(高水裕一著)の1チャプターを連載形式でまるっと紹介!【3】
2022.06.16
ウルトラマン、メフィラス星人、ペガッサ星人、ペダン星人、ウーラー、ゴドラ星人、ガンQ、ダダ、アンチマター、ウルトラマンキング、ウルトラマントリガー、ソリチュラ、ウルトラセブン
今回はメフィラス先生のチャプター、第3回目を掲載します。
「あなた」は無重力に苦しみながらも、視聴覚講義を受けることに……。
宇宙での逃走劇!
「ありゃ、バロッサ星人だ! あいつ、とびきりおバカで間抜けなんだぜ。」
マルゥルがあなたに、宇宙人の名前と特徴を教えてくれました。
「たしかに……」とあなた。そんなことをするよりは、前を向いて逃走に集中したほうがいいような気がします。
「そうかな? バロッサ星人は、本当に愚かだろうか?」
メフィラス星人が異を唱えました。そして、映像を一時停止にして、講義を続けました。
宇宙の法則
「ほんとうですか?」とあなた。
「実演してみせよう。」
そう言うと、メフィラス星人は、無重力ルームに移動してきました。
そして、浮いていたペットボトルを手にすると、後方に投げました。
すると、わずかにメフィラス星人の体が前にふんわりと移動します。
どれくらい移動できるかは、投げるものの重さと速さに関係しているので、できるだけ重いものを、勢いよく後方に投げれば、その分前に移動できるのです。
「無重力空間での移動手段がわかったかね?」
より現実的には、背中に小型ジェットのようなガス噴射ができる装置があれば、それで移動できます。原理は同じで、運動量の保存という宇宙のルールに従ったものです。
映像の続きを見る。どうなった?
「では、映像の続きを見てみよう。」と、メフィラス星人は再び映像をスタートさせます。
バロッサ星人が最後に投げつけたものは……!?
「ということは、それだけ速く進めたってこと?」
「そういうことになるだろうね。」とメフィラス星人はつぶやきました。
ブルトンを使って、バロッサ星人はなんとか逃げきってみせました。
もう、どうにもとまらない♪
地上では、どんなボールも水平な板の上で転がすと勝手に止まってしまいます。これは床との摩擦という力や、空気があるためにおこる抵抗という力のためです。
これらがない宇宙空間では、まちがって移動すると、そのスピードを保ったまま、どんどん移動してしまうのです。宇宙空間での事故は、それほど予想もつかない結果を生んでしまう場合があるのです。
船外活動中、うっかり宇宙船から離れてしまうと、どんどんと離れていって二度と戻ることができません。命にかかわるので、実際の宇宙飛行士は、必ずヒモで宇宙船と体を結びつけた状態で船外活動を行っています。
真っ暗で、空気もなく永遠に続く孤独な空間に1人取り残されてしまったらと思うと、おそろしいですね。『ウルトラマンネオス』のオープニングでも、そんな場面がありました。