シリーズは、昭和から平成へ継承! 『ウルトラマンティガ超百科』

『復刻版テレビマガジンデラックス 決定版 ウルトラマンティガ超百科』が30年超の時をへて再刊!

テレビマガジン編集部

▲平成の新ウルトラマンとなった「ティガ」  ©円谷プロ
『テレビマガジン デラックス 決定版 ウルトラマンティガ超百科』が復刻。この超百科を編集し、復刻版の監修も手掛けたベテラン編集者Ⅰ氏が、約30年前・刊行当時の超秘話を明かします。

平成ウルトラマンの人気と『超百科』の躍進

『テレビマガジン デラックス』は、『テレビマガジン』本誌を制作するための取材を通じてストックされた写真素材と情報を再利用する形態のムックであるため、単独での取材費や素材費をさほど必要とはしなかった。

単価をおさえて設定できる正味64ページに及ぶムックゆえに『超百科』は、誕生から数年で、安定したシリーズに成長していた。

そのため、『テレビマガジン』本誌で一定の力を有する掲載作品を『超百科』にまとめるペースは、年間に10冊ほどで安定することとなった。

その題材は「ウルトラヒーロー」や「ウルトラ怪獣」を集合させて多角的に活用する企画路線にも広がっていた。そのいっぽうで、「スーパー戦隊」や「仮面ライダー」といった定番の東映ヒーローのタイトルもレギュラー枠となっており、『ガンダム』や「勇者シリーズ」『セーラームーン』『ゲゲゲの鬼太郎』といった有力アニメ路線、そして、東宝の『ゴジラ』や大映の『ガメラ』などの怪獣映画路線もラインナップに加えられるようになる。
▲『テレビマガジン デラックス69 決定版 ゲゲゲの鬼太郎超百科』 

ハリウッドに派遣

このような動きのなか、企画枠ではなく久々にタイトル枠で出版された「ウルトラマン」は、1994年2月の『テレビマガジン デラックス45 ウルトラマンパワード超百科』であった。オリジナルビデオでのリリースとはいえ、ハリウッドで制作された新たなウルトラマンという展開の『パワード』は、前シリーズの『ウルトラマンG(グレート)』以上の反響を得ることになる。

講談社は、『G』では、オーストラリアでの写真取材をしていなかった。撮影現場でのスチール確保は円谷プロダクションが代表して行っており、講談社は補完的に使用する写真を国内で撮影しただけだったため、出版事業向けの臨場感のあるスチールが不足している感は否めなかった。

そこで、講談社は、『パワード』においては大島康嗣をハリウッドに派遣、大島は1993年6月半ばから3ヵ月間、本編・特撮シーンともに多数のスチールをアメリカにてモノにすることになるのである。
▲ハリウッドで撮影された『ウルトラマンパワード』  ©円谷プロ/PHOTO講談社

『ウルトラマン』30周年

そして1996年4月20日過ぎ、かねてより「ウルトラマン誕生30周年」を狙って円谷プロダクションが毎日放送に提案していた企画、『新ウルトラマン』の制作が本決まりになった。

タイトルが『ウルトラマンティガ』となった新番組の放送開始は9月であったため、制作準備は急ピッチで進められ、7月1日に本編班が、7月2日に特撮班がクランクインする。

『ティガ』においても『パワード』同様に、出版については講談社が独占することになった。そのため、スチールの撮影のために大島が特撮をメインにほぼ毎日撮影現場につくことになり、『テレビマガジン』本誌は精力的にウルトラマンティガの特集を組んでいくことになる。

制作の決定が遅れたため、『ウルトラマンティガ』の撮影スケジュールは逼迫していた。

そのため、放送開始当初は『テレビマガジン』本誌においても、『ティガ』の放送情報を誌面に間に合わせることはほぼ無理な状況であった。
▲イラストではあるが、誌面に初登場したウルトラマンティガ。(『テレビマガジン1991年8月号』)  ©円谷プロ 

エフェクトにも変化が

「ウルトラマン」は高度な特撮シークエンスがウリのひとつであることから、撮影スケジュールを詰めていくことに限界はあったものの、それでも徐々に体制は安定していき、2クール目の終盤を撮影する頃には、情報がなんとか間に合うようになっていた。

そんな状況のなか、『ウルトラマンティガ超百科』が1997年3月22日に出版された。その編成は『テレビマガジンデラックス67 決定版ビーファイターカブト超百科』から現在と同じ、カバーと表紙プラス56ページとなっており、内容を構成する際のコンセプトは、初期と同様に情報の細かさと迫力のスチールを大きく使う大胆さとの並立であった。さらにこの時期になると、本誌用に制作したCGによる光線や打撃効果のエフェクトを加えたスチールの再使用も増えており、そのあたりが「平成ウルトラマン」誌面の特徴ということもできよう。
▲平成になり、CGのクオリティが飛躍的にアップ  ©円谷プロ
『ウルトラマンティガ』の反響は極めて大きく、それだけに独占掲載をするテレビマガジンの責任は重かった。そこで、より多くの情報を提供するという意図もあって、『ティガ』関連の超百科はワンタイトルでは最多となる計4冊を発刊することになる。

最初の『ウルトラマンティガ超百科』が第18話までの展開をフォローしていたため、6月に発売された『ウルトラマンティガひみつ超百科』は情報を追加して第30話までの内容を紹介、続く8月には本誌の人気レギュラー記事だったウルトラ怪獣の図解特集を再構成、ティガ怪獣40体の解剖図をカラーで掲載する「ウルトラマンティガ図解超百科」を発売している。

そして、『ティガ』の放送が大団円を迎えた後の9月29日、最終回までの内容を網羅した『ウルトラマンティガ決戦超百科』によって、ティガの世界はその完結までを綿密に紹介することができ、編集部のシフトは続いて放送が開始された『ウルトラマンダイナ』へと移行していくことになるのである。
▲4誌刊行されたウルトラマンティガの『超百科』  ©円谷プロ  
その4誌を代表するかたちで復刻された『ウルトラマンティガ超百科』をぜひご覧いただければと思う。
『復刻版テレビマガジンデラックス 決定版 ウルトラマンティガ超百科』定価:1650円(税込み)
©円谷プロ

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テレビマガジン編集部

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。