懐かしすぎ!「ウルトラマン超百科」1990年の誕生秘話&奇跡の復刊
『復刻版テレビマガジンデラックス 決定版 ウルトラマン超百科』が30年超の時をへて再刊!
2022.04.27
「超百科」シリーズの刊行開始
創刊当初は、編集部の力のほとんどを本誌展開に注ぎ、まもなく人気キャラクターに絞った増刊号の刊行や掲載漫画のコミックス化などは行われるようになった。
だが、ムック的な展開は少なかった。
その傾向に変化が起こったのは1984年のことだった。
本誌展開用にカメラマンがテレビクルーに同行して撮影してきたスチール写真を有効利用しようという意図のもと、表紙プラス26ページでAB版のオールカラームック、「テレビマガジン カラースペシャル」が、東映作品を中心に刊行されるようになったのである。
カラースペシャル3冊分
しかし、『テレビマガジン』本誌の1988年5月号から「ウルトラマンシリーズ」の掲載が開始されるようになると、その深い作品内容もあり、「ウルトラマン」を題材にして、それまでよりも厚いムックを刊行しようという機運が生まれることになる。
その機運を反映させた企画が、編集部内では「カラースペシャル3冊分」というコンセンサスでまとまった「カラースペシャル」と同じ判型の「テレビマガジン デラックス」、つまり「超百科シリーズ」なのであった。
『超百科』の第1弾
当初の超百科は、カバーと表紙プラス本文72ページという重厚な編成になっていた。
この一冊は『ウルトラマン』から『ウルトラマン80』までの作品を「拡大できる」クオリティのスチールで網羅風に紹介しようという意図で構成。「データの詳細さは狙うが迫力も確保する」を旨に「カラースペシャル」より上の年齢層を意識した誌面を展開していた。
この思惑は見事に成功し、「超百科」は児童層のみならず大人のファン層にも好評を博すことができ、同年の5月には、さっそく第2弾として『決定版 ウルトラマン超百科』が刊行されることになる。
カメラマン 大島康嗣
1960年代は、使用したスチールは版権管理の見地から処分することが多かったが、さまざまな事情で残っていたスチールを社内の各部署より発掘、当時としてはかなりレアな写真により構成しているのである。
ただし、これは特殊な事情なのだが、『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』を撮影する際、大島は、現場でより多くのスチールをモノにするために、通常より長いフィルムをセットできる改造マガジンを使用することもあったそうだ。
マガジンとはフィルムをカメラに装着するための装置である。
必要不可欠だった! 改造マガジンとは?
そのため、改造マガジンを使って撮影されたポジフィルムは周囲の文字が裏焼きの状態になり、それらが通常のマガジンで撮影されたスチールと混在することになったため、初期「ウルトラマンシリーズ」のスチールは、正版と逆版の判断が極めて難しくなってしまったのである。
そのため、この『ウルトラマン超百科』では、一部のスチールが逆版でレイアウトされてしまっている。
しかし、そんな誌面は、復刻という意義を重んじてそのままにしている。
当時の誌面の雰囲気をそのまま楽しんでみてください。
「復刻版」ならではの面白さは、ほかにも
そのため、『ウルトラマン超百科』には、そこここで円谷プロダクションから提供された写真をプラスして使用している。
そこで目立つ写真はまず、1980年代終盤にバンダイの商品宣伝に使用されたウルトラマンとセブン、ジャック、A(エース)、タロウ、レオ、80の並び写真である。
これは円谷プロのアトラクション及びマーチャンダイジング用のウルトラマンスーツの質が向上し始めて間もなくのスチールであるため、ウルトラマンによる目の違いなどが意識され始めていて興味深い。
また、1984年に東芝のビデオデッキ、ビュースターのCM用に作られたスーツ、通称ビュースターウルトラマンのスチールも使っているのだが、造形家の若狭新一はこの時代に手袋感のないウルトラマンの再現に成功しており、そんなところなどに注目してみるのも楽しいのではないだろうか。
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
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