娘は極低出生体重児 老舗旅館の若女将の「子育て」と「姑」女将から引き継ぐ「おもてなしの心」とは?
「四万やまぐち館」(群馬県四万温泉)の若女将と娘をつないだ『保健室経由、かねやま本館。』
2024.06.23
低体重で生まれた娘は「ひとり旅」するほどたくましく育った
編集A:ありがとうございます。14歳の娘さんは『保健室経由、かねやま本館。』をご存知でしたか。
彩乃:じつは主人に勧められる前から、娘は『保健室経由、かねやま本館。』を何冊も読んでいました。娘の感想を聞きとって参りましたので、読みあげさせてください。
「中学生には中学生にしかわからない悩みがあって、いくら母親が中学生時代のことを思い出してみても、今を生きる私とはわかり合えないことがあると思います。そんな悩みに向きあう言葉や、心の隙間を埋めてくれる言葉が『保健室経由、かねやま本館。』にはたくさんあって、発想の転換になるきっかけや、ヒントを教えてもらった。私はすごく好きな本です。」
編集A:うれしい……。娘さんの表現力に胸を打たれました。作家の松素めぐり先生にも伝えます!
彩乃:手前味噌ですが、我が子ながらおもしろい子に育ったと思います。生まれたばかりのころは苦労が絶えなかったんですよ。娘は予定日の1ヵ月半前に生まれてしまって、1300グラムの極低出生体重児でした。しかも誕生日が3月30日。ただでさえ小さいのに、学年のなかで誕生日が最後のほうになってしまったんです。
小さいうちは病院通いが大変で、四万から離れた小児科のある町にアパートを借りて、ふたりで暮らしていたこともありました。どこか達観したところがあるのか、ひとりで旅に出るのが好きな子に育ちました。小学2年生のときに5日間、フェリーでツアーに参加したこともあります。私の父が定年後にバックパッカーになったことも影響しているのかもしれません。
編集A:小さく生まれたご経験が、娘さんの心を強くしたのかもしれませんね。11歳の息子さんは、どんな性格ですか。
彩乃:息子は甘えん坊タイプです。女将が小さなうちから「この旅館も温泉もあの山も、ぜーんぶおまえのものだよ」とずっとささやいていて、まんざらでもない顔をしています(笑)。私は親として、現実を見てしまいますね。実際に旅館を経営するとなると、大変なこともあるので。娘も息子も、旅館を継ぐことをプレッシャーに感じずに、本人がやりたいことを自由に仕事にしてほしいと思っています。
編集A:彩乃さんの考え方、素敵ですね。老舗旅館を支える家族の秘密を知って、より四万やまぐち館のことが好きになりました! 貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
山口 真央
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。