14歳の子役・村山輝星が「愛」を考えた「不朽の名作」 オオカミとヤギの関係にひそむ「教訓」に震える

『あらしのよるに』30周年記念インタビュー 第3回

ライター:山口 真央

『あらしのよるに』を読めば世界中が平和になる

「あべ弘士さんの描くオオカミの目は鋭いけれど、どこか優しさを感じる」と話す輝星さん。
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輝星:最近また『あらしのよるに』を読み返しました。すると、幼いころ感じていたことよりも、もっと深い教訓が描かれていると気づいたんです。

嵐の夜に、暗闇で出会ったガブとメイ。互いの姿が見えなかったからこそ、2匹はとても仲良くなれたんですよね。

私は誰かと初めて会ったとき、つい見た目の印象で「こんな人なのかな」と内面を想像してしまうことがあります。

でもガブのように、ちょっと怖い見た目の人でも、心が温かいこともある。人は見た目だけで判断しちゃいけないと、改めて思いました。

「『あらしのよるに』は人生で大切なことを教えてくれる絵本」と輝星さんは話します。

輝星:また今の世界で起きている、仲良くなることが難しい人間関係についても、改めて考えさせられました。

戦争している国同士や、優劣のついた上下関係などです。

でも『あらしのよるに』の世界では叶っています。絶対に交わらないとされているオオカミとヤギが、互いに認めあい、助けあい、求めあう物語です。

たくさんの人がこの物語に触れて、固定概念のない、優しくて平和な世の中になったらいいなと思いました。

たとえ身の危険にあっても相手を信じることが「愛」なんだ

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