地政学を学び 戦争の避け方を考える
このような地政学用語を知っていくと、どうしても地政学において“戦争”は避けては通れないトピックであることがわかります。
「実は地政学は、“戦争のための学問”と偏見を持たれることがあります。しかしその逆で、平和の維持のために必要な学問・研究なのです。
どうしても人間は隣同士にいれば、主張も違うし利権もあるし、争いが起きてしまう。それを話し合いや戦略で、どうしたら争わないようにできるのか考える、ポジティブな学問が地政学なのです」(『こども地政学』より抜粋)
『こども地政学』の監修者である船橋洋一(ふなばし・よういち)さんも、「地政学を学ぶということは、政治を深いところで理解するということにほかならない」と語ります。
「相手(他国)を悪魔のように見なさず、イデオロギーで決めつけない。地政学は、こちらとあちらのパワー関係を冷徹に測量し、抑止力を強め、備えをおこたらず、常に平和と安定の可能性を探求するリアリズムの思想と行動なのです」(船橋さん)
親子で考える入り口に立とう
『こども地政学』の「考えてみよう」のコーナーでは、知識を投げかけながら、その知識をもとに「これからどうしたらいいのか」を、考えてもらう仕組みになっています。
「この構成は、シリーズ通してのこだわりです」と、坪井さん。
「私たち大人は、上から目線で子どもに考えを押し付けてはいけないと思っています。
子どもたちを信頼した問いかけをし、考えるヒントまでは与えるけれど、答えは書かない。物事についてわからないことがあれば、自分からお父さんやお母さんや先生に聞いてみる、友達と話し合ってみる。そんなきっかけのツールになればいいなと意識しています」(坪井さん)
まずは「考える入り口に立とう」というのは、大人も同じことです。
「戦争がなぜ起こるのかは、大人にとっても答えがわからなくて、難しい話だと思います。お子さんと対等な目線に立って、改めて一緒に考えてみてほしいと思います」(坪井さん)
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次回は、ロシアによるウクライナ侵攻から見えてきた「エネルギー」の話、そして地政学の視点から考える、これからの「世界経済」の話です。
船橋洋一(ふなばし・よういち)
1968年、朝日新聞社入社。2007年6月から2010年12月まで朝日新聞社主筆。現在は、英国際問題戦略研究所(IISS)Advisory Council、三極委員会(Trilateral Commission)のメンバー。2011年9月に日本再建イニシアティブを設立。2016年、世界の最も優れたアジア報道に対して与えられる米スタンフォード大アジア太平洋研究所(APARC)のショレンスタイン・ジャーナリズム賞を日本人として初めて受賞。『こども地政学』(カンゼン刊)では、監修を務める。
坪井義哉(つぼい・よしや)
2001年、出版社・株式会社カンゼン創業に合わせて、出版部編集長に就任。2008年同社取締役就任。2013年より現在の専務取締役に。編集者として担当する書籍は『こどもSDGs』『こども統計学』『こども地政学』『こどもロジカル思考』『こども倫理学』(バウンド著)などの「こどもシリーズ」ほか多数。
取材・文/遠藤るりこ
坪井 義哉
1972年生まれ。明治学院大学法学部政治学科卒業後、日本エディタースクール昼間部一年制卒業。 1996年より編集プロダクション・株式会社レッカ社にて、雑誌、書籍の編集業務に携わる。2001年、出版社・株式会社カンゼン創業に合わせて、出版部編集長に就任。2008年同社取締役就任。2013年より現在の専務取締役に。 編集者として担当する書籍は『こどもSDGs』『こども統計学』『こども地政学』『こどもロジカル思考』『こども倫理学』(バウンド著)などのこどもシリーズほか多数。 kanzen.jp Twitter @KANZEN_pub
1972年生まれ。明治学院大学法学部政治学科卒業後、日本エディタースクール昼間部一年制卒業。 1996年より編集プロダクション・株式会社レッカ社にて、雑誌、書籍の編集業務に携わる。2001年、出版社・株式会社カンゼン創業に合わせて、出版部編集長に就任。2008年同社取締役就任。2013年より現在の専務取締役に。 編集者として担当する書籍は『こどもSDGs』『こども統計学』『こども地政学』『こどもロジカル思考』『こども倫理学』(バウンド著)などのこどもシリーズほか多数。 kanzen.jp Twitter @KANZEN_pub
遠藤 るりこ
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
船橋 洋一
1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年6月から2010年12月まで朝日新聞社主筆。 米ハーバード大学ニーメンフェロー(1975~76年)、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、慶應義塾大学法学博士号取得(1992年)、米コロンビア大学ドナルド・キーン・フェロー(2003年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー(2005~06年)。 2013年まで国際危機グループ(ICG)執行理事を務め、現在は、英国際問題戦略研究所(IISS)Advisory Council、三極委員会(Trilateral Commission)のメンバーである。 2011年9月に日本再建イニシアティブを設立し、2016年、世界の最も優れたアジア報道に対して与えられる米スタンフォード大アジア太平洋研究所(APARC)のショレンスタイン・ジャーナリズム賞を日本人として初めて受賞。 『こども地政学』(カンゼン刊)では、監修を務める。
1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年6月から2010年12月まで朝日新聞社主筆。 米ハーバード大学ニーメンフェロー(1975~76年)、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、慶應義塾大学法学博士号取得(1992年)、米コロンビア大学ドナルド・キーン・フェロー(2003年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー(2005~06年)。 2013年まで国際危機グループ(ICG)執行理事を務め、現在は、英国際問題戦略研究所(IISS)Advisory Council、三極委員会(Trilateral Commission)のメンバーである。 2011年9月に日本再建イニシアティブを設立し、2016年、世界の最も優れたアジア報道に対して与えられる米スタンフォード大アジア太平洋研究所(APARC)のショレンスタイン・ジャーナリズム賞を日本人として初めて受賞。 『こども地政学』(カンゼン刊)では、監修を務める。