「しいたけ占い」のスペシャルコンビ　タロアウト×しいたけ.の仲良し対談！

──と同時に、この物語にはアヒルの親子やふたりのイノシシの子ども、友達同士のライオン、木のおじいさんなど、実に多様なキャラクターが登場しています。そこにはどういった思いが込められているのでしょうか？

タロアウト　実は今ご指摘されて初めて、「そうか、バラバラだな」と気づいたんです。でもそこには、無意識のうちに自分の価値観が如実に出ているんだろうな、とも思いました。

よく「みんな」という言葉が使われますが、物事って何でも100％ではないじゃないですか。子どものころから、「みんながやっている」と言われていることでも、僕自身はやっていなかったりすると、「みんなじゃないじゃん」といつも思っていたんです。そういう、「みんな」からはみ出している人って僕だけじゃないと思うんですよ。でもまわりを見渡してみると、いわゆる“みんな”以外の人たちもキラキラしている姿に溢れていて、世界は“みんな”以上に広いんだなあと感じたんです。だからきっと、“みんな”以外の層にも届くといいなあと思って、ああいうバラバラのキャラクターになったのかもしれません。

しいたけ.　その中で主人公のうさぎのラニーちゃんだけがモノクロで、かつお部屋の印象からミニマリストみたいな生き方をしていて。だからこそ、いろいろな価値観の世界に参加するラニーちゃん、という印象を強く受けました。

タロアウト　ラニーちゃんは、この絵本を書く前からキャラクターとして存在していたんですけど、当時は現在のようなモノクロのイラストではなく肌にも色をつけていたんですよ。でも数年前から、「何色でもない」という意味も込めて、色を取り去ることにしました。そうやって一つ一つ当たり前を疑うということは、今、僕がチャレンジ中のテーマでもあるんです。

──しいたけ.さんは、この絵本からどのようなメッセージを感じられましたか？　占いの世界と何か重なるところなどありましたでしょうか？

しいたけ.　占いの世界とタロさんの絵本の世界は、すごく重なるものがあると思います。というのも多くの人を占っていると、皆、自分が作った自分のイメージを壊せなくて苦しんでいるのを感じるんですよ。私はこうだから、私はこういう境遇だから……などと。

でも思い切って胸の内を打ち明けたことで報われたラニーちゃん同様、世の中って実は、ほんのちょっとの勇気で変わるのかもしれない。自分のイメージを壊せない人も、この絵本を読むことで勇気をもらえるんじゃないかと。だから僕は、子どもだけでなく、大人にも是非読んでもらいたいと思いますね。

取材・文／山本奈緒子

生まれたときから一人ぼっちで、自分の誕生日を知らないラニーちゃん。ある日やってきた“たんじょうびや”のコウノトリと一緒に、誕生日の友達を集めにいきますが……。世界で人気のキャラクターアーティスト・タロアウトさんが描く、誕生日を迎える大切な人に贈りたい絵本。

絵本作家、キャラクターアーティスト。その作品には一つ一つ、愛情にあふれるストーリーが設定されており、「誕生させる感覚」と言う。その世界観は日本のみならず、海外でも絶大な人気を誇る。ポール・スミス、スターバックスなどのキャンペーンの他、「しいたけ占い」のキャラクターデザインを手掛けたことでも知られる。また2016年より環境省でアンバサダーとしても活動中。

https://www.tarout.net/

占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。８年半人気を博してきた『VOGUE GIRL』の連載「しいたけ占い」が６月に終了。７／10より新たに「しいたけ占い公式サイト」がスタートした。

https://shiitakeuranai.jp/