幻想的な雪の世界に目を奪われる
次は、全編写真で構成された『サンタクロースのおてつだい』(写真:ペール・ブライハーゲン、文:ロリ・エベルト、訳:なかがわちひろ)をご紹介します。舞台は雪国、ほっぺを真っ赤に染めた女の子とトナカイの、幻想的な表紙に魅かれる1冊です。
小さな女の子・オンヤの夢は、サンタクロースのお手伝いをすること。クリスマスが近づいたある日、「サンタに会いにいこう」と、ひとりで旅に出るお話です。
シロクマ、トナカイ、ジャコウウシ……。旅の途中、オンヤはいろいろな動物たちに出会います。彼らはオンヤがサンタに会えるように助けてくれるのですが、オンヤと動物たちが寄り添う姿は、まるで映画のワンシーン。読み終わった後、1本の映画を観終わったかのような満足感があります。
写真を撮っているのは、オンヤの実のお父さんでもある写真家で、文章を書いているのはお母さん。オンヤの表情が自然で柔らかなのは、そういう理由もあるのかもしれませんね。
<この国に住んでいたら、オンヤみたいにサンタさんに会えるかも!>
<いろいろな動物たちが、僕を助けにきてくれるかもしれない>
そんなすてきな空想が膨らむ、新しい感覚のクリスマス絵本ではないでしょうか。
サンタ修業中の女の子が大奮闘!
最後は、サンタクロースの見習いの女の子・みなちゃんが活躍する『みならいサンタ』(作:そのだえり/文溪堂)。プレゼントを待つ子どもではなく、届けるサンタ側が主人公という視点がおもしろい絵本です。
みならいサンタのみなちゃんは、今年のクリスマスにサンタクロースとしてデビューします。師匠のサンタクロースに教わりながら、一緒にプレゼントを届けにいくのです。
まず、注目していただきたいのが、見返し(表紙の裏側)。実は、物語の重要なヒントが描いてあります。みなちゃんが見ているのは、「サンタクロース募集」のポスター。なるほど、みなちゃんはこのポスターを見て、サンタの見習いになったことがわかります。
えんとつがない家には<ポータブルえんとつ>を使ったり、直接子どもに届けるのが難しいときはパパママに渡してもOKだったり(!)、サンタには意外なルールも。
クリスマスの夜、ひとりでプレゼントを届けることができたら「サンタ3級」になれるのですが、果たしてみなちゃんは、プレゼントを届けられるのでしょうか?
<今年のプレゼントは、見習いサンタさんが届けてくれるかな?><夜中に聞こえたあの足音は、もしかして…>と、親子で想像をめぐらせながら読むのも楽しいですね!
取材・文/星野早百合
星野 早百合
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。
井上 まどか
絵本カフェ「ムッチーズカフェ」店長。絵本専門士、保育士、幼稚園教諭一種、認定心理士の資格を保有。都内の公立保育園に9年間勤務した後、“夢と魔法の王国”での自称・お姉さんを経て、2016年、大人のための絵本カフェ「ムッチーズカフェ」をオープン。 2020年11月には、東京・西荻窪にリニューアルオープンを果たす。絵本コラムを多数執筆し、雑誌『たのしい幼稚園』(講談社)では、おすすめの絵本を紹介する連載『たのしい絵本館』を担当。2021年度より、「認定絵本士養成講座」(国立青少年教育振興機構)の講師も務める。 ムッチーズカフェ 公式サイト https://mucchis-cafe.jimdofree.com/ ムッチーズカフェ Twitter https://twitter.com/mucchiscafe
絵本カフェ「ムッチーズカフェ」店長。絵本専門士、保育士、幼稚園教諭一種、認定心理士の資格を保有。都内の公立保育園に9年間勤務した後、“夢と魔法の王国”での自称・お姉さんを経て、2016年、大人のための絵本カフェ「ムッチーズカフェ」をオープン。 2020年11月には、東京・西荻窪にリニューアルオープンを果たす。絵本コラムを多数執筆し、雑誌『たのしい幼稚園』(講談社)では、おすすめの絵本を紹介する連載『たのしい絵本館』を担当。2021年度より、「認定絵本士養成講座」(国立青少年教育振興機構)の講師も務める。 ムッチーズカフェ 公式サイト https://mucchis-cafe.jimdofree.com/ ムッチーズカフェ Twitter https://twitter.com/mucchiscafe