トレーニングを持続させる「2つの秘訣」
これまで4つのトレーニングを紹介しましたが、これらはあくまで「遊び」だということを忘れてはいけません。子どもに強制せず、楽しむことを優先しましょう。
楽しみながら続けるための秘訣は2つ。
1つ目は、短時間でパッと行うこと。「大人だって長続きしません。せいぜい5分程度。ちょっとやってみて、飽きたら終わり。そのくり返しで毎日のルーティンのように組み込めたらいいですね」と北出先生。
2つ目は、大人も子どもと一緒で「遊び感覚」で行うこと。
「遊びの感覚で取り組んでいたものが、気づけば効果を生んでいたという姿が理想ですね」(北出先生)
特に、未就学のお子さんも簡単に取り組めるのは、「【4】眼と体の協応運動」で紹介した、大人の動きを子どもが真似をする「真似っこ体操」。
親子で体を動かしてリフレッシュし、子どもとワイワイ話しながら体を動かすことで楽しみながら自然とトレーニングできます。
「できる」「できない」をジャッジせず「遊び」を重視することが大切です。
大きなお子さんとは、ゲーム感覚で競い合いながらやるのもおすすめ。その際に注意したいのは、勝敗を決めることを目的にしないこと。
できなくて当たり前。その上で、「やったね!」「がんばったね!」と、これまでのプロセスや、その子自身の成長ポイントを褒めることが大切です。
「あくまで楽しみながら少しだけ競争をする要素を加える程度がちょうど良いのではないでしょうか」(北出先生)
最後に「お互いに楽しかったね!」と終わりにできたら最高です。
大人の「眼の運動機能の低下」
子どもはもちろん、大人の眼の機能低下も深刻です。だからこそ、大人もできる簡単なトレーニング方法も知っておきましょう。
昨今、スマートフォンやパソコンと向き合う日常が当たり前です。しかしパソコン仕事やスマートフォンの操作は狭い範囲での眼の往復ばかり。
北出先生は、「大人でも眼を動かす際に、眼球だけではなく顔が動いてしまう人は多いです」と、現代人の「眼の運動機能の低下」について指摘します。
そしてこれらは、頭痛や眼精疲労、集中力の低下につながっています。
さらに眼の筋肉は、年齢を重ねるごとに衰えていきます。眼を動かすトレーニングをすることで、眼が疲れにくくなり、眼の筋力低下も防げます。ですからぜひ大人も「眼の筋トレ」に取り組みましょう。
「よく『眼を休めるために遠くの緑を見ましょう』と言われますが、“遠く”と“近く”に視点を往復させることで筋肉を動かしているのです。“緑の色調が眼に優しく休まっている”以外の効果があるのですね」と北出先生は説明します。
パソコン仕事や、スマホの視聴が続いたとき、画面から視線を外して、眼を上に向けて天井を見つめたり、遠くの景色に眼を向けてみましょう。眼の筋トレだけでなく、気分転換にもなりますよ!
「一日1分でいいのです。長く取り組むと疲れてしまいます」(北出先生)
ちょっと手を休めて、小休止のように1分。ぜひ眼を動かしてみてください。
取材・文/永見 薫
\視覚を鍛えて読み書き・運動上手に!/
子どもの「発達特性」がテーマの記事
子どもの特性に寄り添う絵本・児童文学

\色覚障害をテーマにした物語/
トマトを区別できない、肉が焼けたタイミングがわからないことから、色覚障がいが発覚し苦しむ信太朗。母親は悪気なく「かわいそう」といい、試すようなことをしてくるし、症状を知らないクラスメイトから似顔絵のくちびるを茶色に塗ったことを馬鹿にされ、すっかり自信を失ってしまう。眼科の先生は個性のひとつと言ってくれるけれど、まわりがそうはとらえてくれないし…。
学年が上がり、クラス担任が変わり自分自身に向き合ってくれたことで、信太朗は自分の目へのとらえ方がすこしずつ変わっていくことに気が付く。

\困りごとを抱えている子どもに寄り添う/
【対象:小学校高学年以上】他人とのコミュニケーションが不得手なかえで。勉強はできないけれど、自然とまわりに人を集めてしまう湊。湊のせいで私立中学の受験に失敗したと思いこんでいる兄の聡。自分の中に「化けもの」が住んでいるからキレやすいんだと思っている和樹。マイナスの感情が心を占めると息ができなくなって叫び声をあげてしまう美咲。みんな、「困った子」なんかじゃない。「困っている子ども」なんだ。

\第60回野間児童文芸賞受賞作/
「ねえねえ。なに話してるの?そんなふうにいえればいいんだけど、わたしはおしゃべりができないから。」特別支援学校で長く現役教師をつとめながら児童文学作家としても活躍する、福田隆浩氏の感動作。重度の知的障がいのある小五の女の子、発語できない、すずと、お兄ちゃん、同級生、先生、保護者たちなど周りの人をめぐる優しい物語。第60回野間児童文芸賞受賞作。
見えない人と見える人が一緒に楽しめる「バリアフリー絵本」

\黒柳徹子さんの幼少期を描いた作品/
2024年公開の「映画 窓ぎわのトットちゃん」をもとにした、読みやすいストーリーブックを、点字つきさわる絵本にしました。美しいアニメ絵をふんだんに使い、その上に点字と触図を配置しました。ひとり読みだけでなく、読み聞かせにもぴったりです。小学校中学年以上向け。

\名作を点字と触図で楽しめる/
まっくらやみのあらしの夜、オオカミとヤギが繰り広げるハラハラドキドキの物語『あらしのよるに』の面白さを、点字と触図で再発見!たんに親本に点字がついているだけではなく、オオカミとヤギのちがいや、あらしの風雨や雷の様子を、見て・触って・読んで・楽しめる工夫が随所になされています。

永見 薫
複数の企業勤務後、フリーライターへ。地域や街、暮らしや子育て、働き方など「居場所」をテーマ に、インタビューやコラムを執筆しています。 東京都の郊外で夫と子どもと3人でのんびり暮らす。知らない街をおさんぽしながら、本屋を訪れる休日が好き。 X:https://twitter.com/kao_ngm note:https://note.com/kaoru_ngm
複数の企業勤務後、フリーライターへ。地域や街、暮らしや子育て、働き方など「居場所」をテーマ に、インタビューやコラムを執筆しています。 東京都の郊外で夫と子どもと3人でのんびり暮らす。知らない街をおさんぽしながら、本屋を訪れる休日が好き。 X:https://twitter.com/kao_ngm note:https://note.com/kaoru_ngm






































北出 勝也
一般社団法人 ビジョントレーニング協会 顧問・講師。視機能トレーニングセンターJoy Vision代表。 関西学院大学商学部卒業後、キクチ眼鏡専門学校を経て、米国パシフィック大学へ留学。検眼学(オプトメトリー)を学び、米国の国家資格「ドクター・オブ・オプトメトリー」を取得。帰国後、日本には数少ないオプトメトリストとして、見え方の悩みをもつ子どもやスポーツ選手の視覚機能の検査、トレーニング指導に従事。書籍の執筆や講演会、勉強会の講師など幅広く活躍している。 著書・監修書に『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング』(図書文化社)、『発達障害の子のビジョン・トレーニング』(講談社)など多数。 ビジョントレーニングⓇ協会 https://vision-training.org/ 視機能トレーニングセンターJoyVision ユーチューブ公式チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCXirW05ufWuY57cIs7D9S_g
一般社団法人 ビジョントレーニング協会 顧問・講師。視機能トレーニングセンターJoy Vision代表。 関西学院大学商学部卒業後、キクチ眼鏡専門学校を経て、米国パシフィック大学へ留学。検眼学(オプトメトリー)を学び、米国の国家資格「ドクター・オブ・オプトメトリー」を取得。帰国後、日本には数少ないオプトメトリストとして、見え方の悩みをもつ子どもやスポーツ選手の視覚機能の検査、トレーニング指導に従事。書籍の執筆や講演会、勉強会の講師など幅広く活躍している。 著書・監修書に『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング』(図書文化社)、『発達障害の子のビジョン・トレーニング』(講談社)など多数。 ビジョントレーニングⓇ協会 https://vision-training.org/ 視機能トレーニングセンターJoyVision ユーチューブ公式チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCXirW05ufWuY57cIs7D9S_g