PTAと企業をつなぐマッチングプラットフォーム「PTA’S(ピータス)」を2020年にリリースした、代表の増島佐和子(ますじま・さわこ)さん。
「PTA’S(ピータス)の“タス”には、PTAを“助ける”という意味と、企業の技術や知恵を“足す”という意味があるんですよ」と、話します。
ご自身の育児とPTA経験から、広い視野を持ってPTAと企業のマッチング、そしてPTAの抱える課題の解決に取り組む企業コラボレーションを提案する増島さんにお話をおうかがいしました。
最後にPTAにくわしい労働・子育てジャーナリスト、吉田大樹さんの意見も紹介します。
広がる企業との協業で 増えるサポートの選択肢
PTA’Sでは、12の業種カテゴリーで検索したり、行事で調べると、さまざまなサポーター企業とつながることができます。
代表の増島佐和子(ますじま・さわこ)さん自身も全国各地のPTAとやりとりを重ね、PTAの課題解決に取り組んでいます。
2021年からは「書記業務の負担が大きくて誰もやりたがらない」という相談をきっかけに、PTA’S+書記代行サービスをスタートさせました。
「在宅で働く母親を取りまとめている企業と協業して、書記業務の代行をしていただいています。PTAとの親和性も高く、秘密保持契約もきちんと結んだうえで業務にあたっていただけるので、安心です。
箇条書きのデータをお渡ししただけで、きちんとしたお手紙に仕上げてくれるんですよ」(増島さん)
月会費はかかるものの、お手紙作成などは数百円~発注が可能。実際に利用しているPTAからは「プロの文章なのでコンパクトでわかりやすい。今まで何往復もしていた文字修正作業がなくなってよかった」と好評です。
ほかにも、このようなPTA’Sと企業の協業は増えています。
「さまざまなグループウェア(情報共有ソフト)を提供するサイボウズに協力いただき、PTA専用のアプリパックもリリースしました。役員会の議事録や行事報告書などをアプリで作成すると、そのまま引き継ぎ書類になるというもの。
年度が新しくなったときには、カレンダーアプリに年間行事を登録すると、過去のデータとひもづけて振り返ることができます。これなら抜けや漏れがなくなり、引き継ぎがされにくいPTAでも安心です」(増島さん)
役員や委員が定期的に入れ替わるPTAという特殊な組織に合ったアプリで、持続的に安定した運営ができる仕組み作りに一役買いそうです。
「育児や介護、仕事をしながらも、『子どもたちのために』とPTA業務をする保護者たちの気持ちに負担をかけることをしたくない。
子どもの相手をしながら、通勤の電車のなかで、パッとスマホでも使えるシステムが作れたら、もっとPTAが保護者たちに寄り添った、負担の少ない組織でいられるのではと。
こういうシステム自体に《予算》を使う、という選択肢も広がっています」(増島さん)
新学期を迎える前後に増える PTAからの相談
「年末年始には、役員決めや委員決めの相談が増えますね。新年度を控えて、『来年度からはきちんと書類を整え、任意加入へ移行していきたい』というPTAもあります。PTA’Sへの登録が増えるのも、この時期です」(増島さん)
まずは多くのPTAがPTA’Sというサイトにたどり着いてくれたらと、いろいろな角度からアクセスが増えるような工夫をしています。
「現在PTAが抱える問題の多くを、包括的に解決できるサービスでありたいと、加入届や個人情報取扱同意書など『PTAに必要な書類の雛形』は、ユーザー登録いただければ、無料でダウンロードできるようにしています」(増島さん)
こういった書類や資料のダウンロードは大変好評で、これをきっかけにPTA’Sにたどりつき、アウトソーシングサービスを知る方も少なくありません。
ほかにも、業種や行事からサービスを選ぶマッチングスタイルとは別に、「こんなことに困っているけれどどうしたらいいのか」、「うちも外注を頼みたいけれど、どこから始めればいいのかわからない」など、相談はなんでも無料で受け付けています。
「アウトソーシングにより、保護者の負担は減り、PTA活動自体もラクにすることができますが、それぞれのPTAが抱えている課題を解決することも必要だと考えています。
運営や予算など、包括的な相談をしていただければ、それぞれのPTAにあったアドバイスや、オリジナルのサービスなども提案することができます」(増島さん)