
保護者のモチベーションやスキルに頼らない運営を
「PTA'Sについて説明すると『うちはみんなヤル気があるので、アウトソーシングなんて必要ありません』や『うちはITに強い人がいるから大丈夫です』と言われることもあります。
でも、PTAは定期的に人が入れ替わります。私が懸念しているのは、ずっと今の状況が続くとは限らない、ということです」(増島さん)
「ご自身のスキルや、強いリーダーシップで、PTAを変えていっている会長さんもたくさんいらっしゃって、素晴らしいと思うんです。でも、その会長さんがずっといらっしゃるわけではないですよね。退任後、そのPTAはどうなってしまうんだろう、と不安に感じてしまいます」と、増島さんは言います。
「PTAという組織が抱える課題として、みなさん熱心に『この瞬間をどう改善するのか』には取り組まれるのですが、『この状態をどうやって持続させるのか』までは、なかなか考えが及ばないようです。
年度が変わると、役員も委員会も人が入れ替わってしまうので、持続的な視点が持ちづらいんだと思います。
翌年度もそのあとも、現在と同じようなモチベーションの方が役員になるとは限らない。保護者のモチベーションやスキル、バックボーンで、PTA活動にムラが出るのは、おかしいですし、子どもたちにとってもよくないですよね。
誰が役員になっても、PTAを安定した状態で維持できる仕組み作り=土台が何より大事だと考えています」(増島さん)
困りごとの解決の選択肢にアウトソーシングを
現代のPTAが抱える課題には、正解がないことが多いと、増島さん。
「みなさんいろいろな問題に直面しており、今が活動の転換期であることはわかっている。でもその課題ってひとつではなく、いくつか絡み合って存在しているので、何かひとつがラクになって手離れしたところで、根本的な解決にはならないことも多いんです」(増島さん)
どうすれば解決できるのかわからない課題やお悩みについても、まずは相談してほしいと増島さん。
「いろいろなPTAの、いろいろな状況が知りたいです。こちらも一緒に考えさせてもらえたら、PTA’Sとしてももっと知見を増やすことができます。
『そういう困りごともあるんですね、じゃあどうしましょうか』と共に考えて解決策を考えていくことで、全国のPTAにより寄り添うことができるのではと思っています」(増島さん)
増島さんがそこまでPTAに寄り添い続ける理由はどこにあるのでしょう。
「PTAは、子育ての延長にあるものだと思っています。個人的な経験はもちろん、全国のPTAに関わる保護者の話を聞いていても、負担なく活動に参加できれば、嫌なことばかりではないんですよ!
もっとみなさん楽しく無理なく前向きにPTAに参加することができれば、子育ても、子どもたちの学校生活も、より豊かなものになる。
PTA’Sで保護者たちのPTA活動が、“仕方なく”参加するものから、“積極的に”参加したくなるものに変えられたらと願っています」(増島さん)
今年大きく話題となった「PTA業務のアウトソーシング」が、来年度からいろいろな学校で、保護者たちのPTA活動を変えてくれるのかもしれません。