都内4区と武蔵野市で「ふたご助っ人くじ」を実施
さらに、東京都では2020年からベビーシッター利用への助成制度を拡大し、多胎家庭や多子世帯への子育て支援を広げています。その制度を受けて認定NPO法人「フローレンス」は、『ふたご助っ人くじ』という、多胎家庭を専門とした訪問サポートサービスを地域限定で実施しています。
市倉さん「『ふたご助っ人くじ』とは、多胎家庭のお父さん、お母さんが利用したい日の前日15時から当日の朝8時までに申し込みをします。当選すれば、保育のプロである“ふたご助っ人”がご自宅へ伺い、お父さん、お母さんと一緒に子どもたちと過ごす、多胎育児サポートサービスです。登録、利用、支払いまですべてLINEで完結し、最短で登録した翌日から使えます。“昨日、夜泣きで寝不足だから今日は助けてほしい!”というお父さん、お母さんの声に応えられるシステムです。
これが現在、地域限定なのには理由があります。2020年から東京都がベビーシッター利用への助成制度を創設したものの、現在、東京都の中央区、北区、荒川区、葛飾区、武蔵野市だけがこの制度を導入しています。この5地域では、ベビーシッターの利用について助成されているため、『ふたご助っ人くじ』の保育料は実質無料となるのです。
『ふたご助っ人くじ』は双子家庭なら5000円/時、三つ子家庭なら7500円/時と、決して安くはありません。しかし、5地域の自治体が設定した助成上限の範囲内で利用していただければ、お父さんもお母さんも交通費(一律500円)の負担だけで、サポートが受けられます。各地域でとても好評で私たちも手応えを感じているので、もっと他の自治体も導入してくれることを願っています。
ちなみに“ふたご助っ人くじ”という仕組みは、切羽詰まった家庭の依頼にも応えたい、という気持ちから作りました。多胎家庭は、前夜の睡眠不足や当日の天気によって、育児のハードルが上がると思っています。既存のベビーシッターは、先着で依頼を受けるサービスがほとんどですが、多胎家庭の“今すぐ、今日、助けて欲しい!”という希望に応えるには、先着順では難しいと思いました。また『当選した!』と、日々の大変な育児に少しでも楽しさを感じてほしいという気持ちもあります」
子育てに関する行政サービスやサポートは多々ありますが、説明会の受講後に、登録手続きをするなど、利用前の手順が大変なケースが多いうえ、双子を連れていけないような立地の場合もあります。しかし、『ふたご助っ人くじ』は、多胎家庭に寄りそったシステムです。利用可能な5自治体に住む多胎家庭は積極的に利用してみましょう。
そのほかにも東京都では、多胎家庭1世帯当たり年間24000円のタクシー利用料金を補助する制度を作っており、導入する市区町村は増えています。自治体によっては、乳児連れの予防接種にはタクシーが使えるなど、独自の支援を打ち出しているとこもあります。社会は少しずつですが変化しているので、自分が住んでいる地域にはどんなものがあるか、アップデートされていないか、常に調べておきたいことです。
ママの育児をパパが手助けする時代は終わり、パパもママと同じく当事者として主体性を持って育児すべき時代になりました。多胎家庭ともなればなおさらお互い協力しあって、あらゆる人、物、サービスに頼る心づもりで、双子、三つ子として生まれてくる子どもたちの笑顔を守っていきましょう。
松倉 和華子
編集プロダクション勤務を経て、2017年にフリーランス・編集ライターとして独立。 雑誌、ウェブメディア、オウンドメディアなどを中心に取材記事やインタビュー原稿を執筆。2歳の双子女児の母。
編集プロダクション勤務を経て、2017年にフリーランス・編集ライターとして独立。 雑誌、ウェブメディア、オウンドメディアなどを中心に取材記事やインタビュー原稿を執筆。2歳の双子女児の母。