『黒魔女さんが通る!!』チョコが18歳に!作者・石崎洋司が「大学生編」に込めた想いと読者へ伝えたいこと

君に贈る「物語の処方箋」

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「病気で寝ているとき、窓からのぞく空と電信柱を見上げながら『外の世界はどうなっているんだろう』と想像していました」

そう語るのは、シリーズ累計500万部突破の大ヒットシリーズ『黒魔女さんが通る‼』(青い鳥文庫)で絶大な人気を誇る作家、石崎洋司さん。

『JC紫式部』シリーズや『杉浦千畝 命のビザ』『福沢諭吉「自由」を創る』など、楽しいお話から社会派の伝記まで、幅広いヒット作で読者の心をつかんでいます。

病弱で学校にあまり通えなかった子ども時代に「物語の楽しさ」に目覚めたこと。そして、いちどは出版社へ就職した石崎さんが、ケガをきっかけに創作を始め、作家への扉を開くことになった転機とは?

作家の軌跡を紐解き、今を生きるヒントを探る連載企画「君へ贈る物語の処方箋」。今回は、作家の石崎洋司さんにお話を伺います。

黒魔女さんは大学生!! チョコ、バイトデビューするの巻

黒魔女さんは大学生!! チョコ、バイトデビューするの巻

石崎 洋司(作)  亜沙美(絵)  藤田 香(イラスト・その他)

発売日:2026/07/08

価格:定価:本体990円(税別)

子どもたちの心の支えになること

──大人気の『黒魔女さん』シリーズは2005年にスタートし、初期の読者はもう大人世代になりましたね。2026年は待望のコミカライズや、カラオケとのコラボなど、長年のファンも喜ぶイベントが続いています。そんな記念すべきタイミングで「大学生編」が始動しますが、執筆のきっかけを教えてください。

石崎洋司さん(以下、石崎):大人になったチョコちゃんを書きたい、という想いはずっと持っていました。でも、実際書き始めるとめちゃくちゃ難しかった。

小学5年生編と6年生編では、クラスメイト36人の一人ひとりがぼくの中で行動していました。今回の大学生編では、今、その子たちがどこでどうしているかを描かなければなりません。

チョコちゃんも18歳になり、大学という新しい環境の中で生活を始めるので、まったく今までとはパターンが異なります。それでも黒魔女さんらしいストーリー展開は失いたくない。バランスをどう取るかが悩みどころでした。

そこで、キャラクターたちがどんなふうに成長してほしいと思うか、読者にアンケートをとったんですよ。

▲黒魔女修行をするハメになったチョコこと、黒鳥千代子。黒魔女ギュービッドや個性ゆたかすぎるクラスメイト、魔界キャラにかこまれた愉快な日常を描くマジカルコメディー。(左:シリーズ1作目『黒魔女さんが通る!! チョコ、デビューするの巻』、右:最新刊『黒魔女さんは大学生‼ チョコ、バイトデビューするの巻』)
▲黒魔女修行をするハメになったチョコこと、黒鳥千代子。黒魔女ギュービッドや個性ゆたかすぎるクラスメイト、魔界キャラにかこまれた愉快な日常を描くマジカルコメディー。(左:シリーズ1作目『黒魔女さんが通る!! チョコ、デビューするの巻』、右:最新刊『黒魔女さんは大学生‼ チョコ、バイトデビューするの巻』)

\シリーズ最新刊/
『黒魔女さんは大学生‼ チョコ、バイトデビューするの巻』

──読者参加型は、「黒魔女さん」シリーズの特徴ですものね! 今回もちゃんと継続されているのはうれしいです。ファンレターもたくさんくるそうですね。

石崎:
読者からいただいたファンレターは、すべて読んでいます。どれも励まされますが、とりわけ心に残っている手紙が2通あります。

1通目は、「転校したばかりで友だちがいませんでした。休み時間に席で『黒魔女さん』を読んでいたら、『私も読んでるよ』と話しかけてくれた子がいて、友だちになれました」というもの。友だち作りのきっかけに役に立ったのですね。「『黒魔女さん』シリーズを書いていてよかった」と思いました。

2通目は、「親から叱られて悲しかったけれど、部屋で『黒魔女さん』を読んだら、悲しい気持ちが少しずつ消えていきました」というお手紙。これもうれしかったですね。子どもたちの心の支えになること、ぼくの本はそれでいいんです。

──「黒魔女さん」シリーズを書くときに、気をつけていることは何でしょう。

石崎:
中国古代の老荘思想に「無用の用」という言葉があります。役に立たないと思われていたものがじつは役に立つ、という意味です。でも、子どもの本は、逆に、言うならば「有用の用」。児童書は「具体的に役に立つ」ものでありたい、と思っています。知識でもいいし、生活の中の息抜きでもいい。それも大きな役に立つことです。

それから、面白い物語を楽しみながら読んでもらうこと。もしかすると、ぼくの本が子どもたちにとっては、文字がたくさんある初めての本かもしれません。「本ってつまらない」と思われたら、本を読まなくなってしまうかも。責任重大です。

──今回の新刊も大人でも興味深いうんちくがたくさんあって、面白く読めました。広い世代で楽しめる内容ですね。

石崎:
「子ども向きに書いてある本だからこそ、大人向けの教養書として向いている」というのがぼくの持論です。伝記もたくさん出していますが、すべて大人向けの情報を子どもにわかるように書く、というスタンスでずっと書いています。理解が進むように展開することを大事にしているんですよ。

病弱の子どものころに物語の楽しさに目覚める

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