理想のマイホームで後悔しない 「まずは住宅展示場」「窓がたくさん」から始まる「家づくりの罠」とは? 気鋭の建築家が解説

マイホームを考えるときの最初の一歩が間違い!? 日本人が陥りやすい家づくりの罠を気鋭の建築家に聞いた〔第1回/全3回〕

光を取り入れるポイント

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こちらの写真を見てください。北西の角が切り取られた逆L字の敷地に建てられた平屋のおうちです。人目を避けるため、道路に面している南側には窓を一切つけたくないとリクエストされましたが、住宅がひしめき合う密集地であり、平屋で明るさも妥協しないのは、本来であればなかなか難しいケースです。

プライバシーを確保するため、南側の道路に面した部分には一切窓を設けていない。

このおうちに光を取り入れるポイントは、へこんでいる北西のスペースを最大限に活用することでした。ここに面したリビングをキッチンとつながる形で高天井にし、北側の高い位置に窓をつくることで、逆L字のへこみスペースを「日光がたまる場所」とし、この明かりだまりから室内に明るさを取り入れるのです。

「明かりだまり」から取り込んだ柔らかい光による落ち着いた空間。

窓は高い位置につけられているため、隣接する家からの視線を感じることもありません。また、この家の場合、リビングの斜めの位置に設けた中庭からも東の日が入りますので、直射日光による明るさとは違う、あたたかな明るさを常に感じることができます。逆L字の敷地という異形地ならではの、光の取り込み方です。

「窓は適材適所に」の意味が、おわかりいただけたでしょうか? 南向きの窓でなくても、たくさん窓をつくらなくても、明るく快適な室内環境を整えることは設計の工夫次第でいくらでも可能なのです。

──「明るい家=南向き」の思い込みがいかに間違っているか、ということに気づかされました。これからマイホームを検討の方にはぜひ、窓の高さや大きさなど建築士の方に相談しながら、ご自身の理想の明るさに近づく方法を模索してほしいですね。

次回は、マイホーム建築時、「子どものために」という考え方は危険! ということについて先生にうかがっていきたいと思います。

取材・文/佐々木 奈々子 記事内写真はすべて『家は南向きじゃなくていい』(内山里江/著 講談社)より

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※公開日までリンク無効

『家は南向きじゃなくていい』内山里江/著(講談社)

×土地は正方形がいい
×窓は大きいほうがいい
×天井は高いほうがいい
×収納は多ければ多いほどいい
×廊下は絶対に必要
×トイレとお風呂は広いほうがいい
×将来のために子ども部屋はふたつ必要
×和室はとりあえず作っておく

実はこれらの「常識」は、すべて間違い。気鋭の建築家・内山里江さんと、家づくりの「間違った常識」について学んでみませんか?

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うちやま りえ

内山 里江

Rie Uchiyama
一級建築士 株式会社コモドデザイン代表

1972年、高知県に生まれ、12歳まで愛媛県で過ごす。子どものころ、建築家・宮脇檀氏の設計で建てた父の友人の家に感動し、いつか自分も建築家になることを夢見る。山口県の工務店に勤務して実地で経験を積み、一級建築士になる。建築設計歴27年、のべ2000棟以上を設計・デザイン。「家を単なる休む場所ではなく、遊べる場所に」をモットーに、付加価値を高める設計を提案し続けている。 コモドデザイン  https://comodo-design.com/

1972年、高知県に生まれ、12歳まで愛媛県で過ごす。子どものころ、建築家・宮脇檀氏の設計で建てた父の友人の家に感動し、いつか自分も建築家になることを夢見る。山口県の工務店に勤務して実地で経験を積み、一級建築士になる。建築設計歴27年、のべ2000棟以上を設計・デザイン。「家を単なる休む場所ではなく、遊べる場所に」をモットーに、付加価値を高める設計を提案し続けている。 コモドデザイン  https://comodo-design.com/