「中学受験」高学年になっても算数が不得意 親が知っておくべき「コツ」「テクニック」を気鋭の算数専門塾長が解説
フォトン算数クラブ・武井信達先生に聞く「中学受験の算数」 #2 ~高学年のリカバリー編~
2024.11.01
教育ジャーナリスト:佐野 倫子
過剰な他人との比較はNG
武井先生:そうですね、中学受験というのは、親御さんも本当に大変だと思います。それを少しでも助けられたら、といつも思っています。
まず人間には知識欲があります。知識を増やせる勉強とは本来楽しいもの。日々追い込まれてやらされていると忘れがちですが、「楽しい」を子どもが忘れないようにしてあげることが大切です。
次に、どうしてやる気が低下してしまうかを考えると、ひとつは他人と比べるからなんですよね。偏差値の上下よりも、コツコツ地道に頑張って努力することで、解ける問題が増えていくことに面白さを見出してほしいなと思います。
もうひとつは、悪い点数を取ると怒られるからです。算数が嫌いというより、親に怒られるから嫌いと思ってしまう。子どもは混同してしまっているので、保護者の方にはなるべく怒らないでほしいと思います。
原理を理解していないと解けない
武井先生:実際に塾で算数がついていけないと感じるときは、「単元の原理を理解しているか」を常に考えてください。
何を今さら? と思われるかもしれませんが、定着が大事とはいえ、まず原理を理解しないと表面的な暗記になります。わからなければ先生に質問して、しっかり理解をしているか親御さんが確認をするという地道な作業で成績はぐっと上がります。
理解したら、その後で問題を解き、間違えた問題に印をつけ、後日解き直す。定着するまで何度か適切なタイミングで1日1問の解き直しをご家庭で取り組ませましょう。とても地道ですが、確実に実力がつきます。
──できない、ついていけていない、となると思わず𠮟ってしまうけれど、それだと何も解決しないということですよね。私も経験がありますが、焦ってしまったり、テストで手がついていない問題を見ると、絶望的な気持ちになるので、つい……。
武井先生:気持ちはわかります。怒りは恐れの裏返しですからね。でも安心してください、実際は入試で満点をとる必要などないのです。捨て問は必ずあります。
超難関男子校を例に出すと、「こんな問題、誰も解けないだろう」という難問が出されたりしますが、それができなくても充分合格点を取ることができます。逆にそういう地雷のような問題に手を出して時間を使ってしまうと、悲惨な結果につながります。
また、女子校は標準的な問題が出題される割合が高いことが多く、むやみに焦る必要はありません。地道に原理を理解して確実に解ける問題を増やして、「解く楽しさ」を意識していきましょう。
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難問が解けないからと、親が心配したり、𠮟ったりするのは効率が悪いとおっしゃる武井先生。テストに解き残しがあるとストレスを感じるという話はよく聞きますが、志望校によってはすべてが解ける必要はないとのこと。取捨選択が大切ということですね。
次回3回目では、中学受験でここだけは外せない「重要単元」について伺います。
撮影/安田光優
取材・文/佐野倫子
佐野 倫子
東京生まれ、早稲田大学卒。英国ロンドン大学ロイヤルホロウェイ留学。航空業界・出版社勤務を経て、作家・教育ジャーナリストに。 講談社mi-mollet、漫画雑誌Kiss(原作)、ダイヤモンド・オンライン、幻冬舎ゴールドオンライン、東京カレンダーWEB、月刊[エアステージ]などで小説・コラムを多数執筆。2人の男の子の母。 主な著書:『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)、『知られざる空港のプロフェッショナル』(交通新聞社)。 Instagram @michikosano57 X @michikosano57
東京生まれ、早稲田大学卒。英国ロンドン大学ロイヤルホロウェイ留学。航空業界・出版社勤務を経て、作家・教育ジャーナリストに。 講談社mi-mollet、漫画雑誌Kiss(原作)、ダイヤモンド・オンライン、幻冬舎ゴールドオンライン、東京カレンダーWEB、月刊[エアステージ]などで小説・コラムを多数執筆。2人の男の子の母。 主な著書:『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)、『知られざる空港のプロフェッショナル』(交通新聞社)。 Instagram @michikosano57 X @michikosano57
武井 信達
慶應義塾大学大学院理工学研究科修了(同大学卒業)。中学受験算数指導歴30年以上。2007年に東京・自由が丘にて、算数1科のみの中学受験塾「フォトン算数クラブ」を1人で創業。現在は、自由が丘・白金高輪・日本橋の3つのエリアに教室を構える。 先取り学習と徹底的な反復を掲げ、2024年は御三家・早慶以上に塾生の87%が進学。低学年から始める人気の飛び級コースの入塾テストは高倍率を誇り、毎年11月1日にHPにて説明会や入塾テストの情報が掲載される。 また、入塾テストなしで、通塾と同じ授業が受けられるオンライン教室「フォトン算数オンライン教室」も人気。 フォトン算数クラブ https://www.photon-sansu.jp/ フォトン算数オンライン教室 https://online.photon-sansu.jp/
慶應義塾大学大学院理工学研究科修了(同大学卒業)。中学受験算数指導歴30年以上。2007年に東京・自由が丘にて、算数1科のみの中学受験塾「フォトン算数クラブ」を1人で創業。現在は、自由が丘・白金高輪・日本橋の3つのエリアに教室を構える。 先取り学習と徹底的な反復を掲げ、2024年は御三家・早慶以上に塾生の87%が進学。低学年から始める人気の飛び級コースの入塾テストは高倍率を誇り、毎年11月1日にHPにて説明会や入塾テストの情報が掲載される。 また、入塾テストなしで、通塾と同じ授業が受けられるオンライン教室「フォトン算数オンライン教室」も人気。 フォトン算数クラブ https://www.photon-sansu.jp/ フォトン算数オンライン教室 https://online.photon-sansu.jp/