
【産婦人科医監修】妊娠3ヵ月(8週~11週)「つわり」のピークはいつ? 食べられるもの・仕事の乗り切り方
【妊娠初期シリーズ③】産婦人科医に聞く、妊娠3ヵ月(8~11週)のつわりのピークと乗り越え方 (3/3) 1ページ目に戻る
2025.10.28
産婦人科医:柴田 綾子
仕事はどうする? 「母健連絡カード」を活用して周りにサポートを求めよう
妊娠3ヵ月は、仕事や生活の調整を考える時期でもあります。特に、つわりや妊娠中の症状で配慮が必要な場合は、職場へ妊娠を報告するひとつのタイミングといえるでしょう。
症状が強い場合には、医師が発行する「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」を活用して、勤務時間の短縮や休養の必要性などを職場に正確に伝えることができます。上司に相談する際に心強い味方となってくれるでしょう。
母健連絡カードを使って、出勤時間を遅くして電車に座りやすくしたり、勤務調整をして重労働を無くしたりすることができます。症状が重い場合、在宅勤務が可能な業種であれば、一時的な在宅勤務への変更を申請することも可能です。
また、家事や育児、仕事を一人で抱え込むのは大きな負担になります。夫や家族にサポートをお願いすることはもちろん、家事代行や宅食サービス、便利な家電などを取り入れて少しでも負担を減らしましょう。
こうした工夫は妊娠中だけでなく、産後の生活にも役立ちます。
「たかが、つわり」と我慢は禁物! 入院が必要な「妊娠悪阻」とは?
つわりによって食事がほとんどとれない、水分しかとれない、体重が急激に減るといった場合は、「妊娠悪阻(にんしんおそ)」の可能性があります。
妊娠悪阻とは、つわりの症状が強くなり、治療が必要となった状態を指します。入院が必要になるケースもあるため、早めに産婦人科を受診しましょう。
特にビタミンB1が欠乏すると、「ウェルニッケ脳症」と呼ばれる命に関わる状態になることがあります。妊娠悪阻は気合や根性で乗り越えられるものではないため、我慢は禁物です。
また、妊娠12週までは、自然流産が起こりやすい時期です。安静に過ごしても避けられない場合もありますが、無理をせず、体のサインに耳を傾けながら過ごしましょう。
一人で頑張りすぎない 周りにサポートのお願いを!
妊娠3ヵ月はつわりがピークを迎え、心身ともにつらい時期です。すでに体は無理している状態のため、一人で頑張りすぎず、周りを頼ることが重要です。
家族やパートナー、職場の人など、身近な人にサポートをお願いしましょう。頼られることで、周りも自分の役割を意識し、協力しやすくなります。
普段は気にならない「におい」も、妊娠中にはつわりを悪化させる原因になることがあります。柑橘系のアロマやマスクの着用で、においによる影響を和らげる効果もあります。
以下のサイトでは、妊娠中に働く女性のための情報がまとめられています↓
●厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/index_bosei.html
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/glossary/symptom01.html
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エコー検査で赤ちゃんの姿や仕草に癒やされる方も多いはず。周りに頼りながら、無理をしない生活を心がけましょう。
取材・文/メディペン(広田沙織)
妊娠初期の症状は全4回。
妊娠1ヵ月『妊娠のサイン・過ごし方・注意点』を読む
妊娠2ヵ月『つわりと症状、初めての産婦人科受診と産院選びのポイント』を読む
妊娠4ヵ月『過ごし方と「安定期」の注意点』を読む(2025年10月29日よりリンク有効)
【参考】
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【関連書籍】

メディペン
医療ライターズ事務所。 看護師、管理栄養士、薬剤師など、有医資格者のライターが在籍。 エビデンスに基づいた医療記事を得意とするほか、医療×他業種の記事を手掛ける。 産婦人科関連、小児科、皮膚科、医療系セミナーレポートや看護師専門サイトの記事の実績多数。 medipen
医療ライターズ事務所。 看護師、管理栄養士、薬剤師など、有医資格者のライターが在籍。 エビデンスに基づいた医療記事を得意とするほか、医療×他業種の記事を手掛ける。 産婦人科関連、小児科、皮膚科、医療系セミナーレポートや看護師専門サイトの記事の実績多数。 medipen




































柴田 綾子
世界遺産15カ国ほど旅行した経験から母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。 女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動中。1児の母。 主な共著『患者さんの悩みにズバリ回答! 女性診療エッセンス100』(共著/日本医事新報社)、『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社)など。
世界遺産15カ国ほど旅行した経験から母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。 女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動中。1児の母。 主な共著『患者さんの悩みにズバリ回答! 女性診療エッセンス100』(共著/日本医事新報社)、『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社)など。