ママの実体験 妊娠22週493gで出産したリトルベビーママが不安の日々で得た希望
小さな赤ちゃんに寄り添う手帳「リトルベビーハンドブック」#3 ~リトルベビーのママの告白~
2023.08.19
栃木県リトルベビーサークル「にちにちらんらん」代表:小林 恵
看護師さんとの交換日記が心の支え
「はじめて、息子にさわったのは生後4週目です。保育器の中で抱っこができたのは生後45日目で体重は738gでした」(恵さん)
そのときの様子が写真付きで記されているのが、NICUで看護師さんと一緒に記入していたという成長ノートでした。
「コロナ前だったので、病院にも毎日行けて、面会時間の間はずっとそばにいました。でも、夜間のことはわからないので、様子を看護師さんがノートにメモしてくれました。
看護師さんとの交換日記のように毎日写真を撮って、スクラップブックのようにして成長ノートを作っていました。成長ノートはNICUで3冊、GCUで2冊あります。これは、今でも本当に宝物です。
ノートに成長記録を書くことによって、自分の不安な気持ちも整理できたり、看護師さんとかお医者さんに疑問などを伝えることもできたのが、私の心の安定につながったと思います。
また、成長ノートを家族以外の誰かに一緒に読んでもらえるのはすごく励みになりました。一緒に成長を喜んでくれる人がいるのは、心強かったです」(恵さん)
息子・かなめちゃんの入院期、恵さんは一切、母子健康手帳(以下略:母子手帳)を開くことはありませんでした。
というのも、恵さんが出産した病院では入院時に母子手帳を預けてしまい、子どもの退院時まで触れることができなかったのです。
しかし、退院後、改めて母子手帳に記入しようと開いたときに、愕然としたといいます。
「まず、発育曲線は体重1000g以下のメモリがないから何も書けないんです。もちろん、病院の看護師さんたちも書ける箇所がないから入院中の記録も何も書いていなかったんです。
それでも、退院後、初めて母子手帳を開いたときに、欄外にひとつ点を打ちましたけど、それがとても悲しくて……。
発達チェックも月齢にあわせてYES/NOで答えるので、小さく生まれた息子はすべてNOになってしまって……。
まるで、自分の子どもが否定されているような感覚になり、母子手帳を見るたびに本当に辛い気持ちになりました。『なんで、私はこれを持ってなくちゃいけないの!!』みたいな感じでしたね」(恵さん)
日本の母子手帳は、世界でもまれに見る制度で母子の健康をサポートすることができる取り組みとして高い評価を受けています。
しかし、リトルベビーや障がいをもつ子どものママたちにとっては、ときに辛い現実を真正面から突きつけるものにもなっているという事実もあります。
そんなママたちのリアルな実体験をもとに、低出生体重児の親子に寄り添うことを第一に作られているリトルベビーハンドブック。
次回は、小林恵さんが今も直面しているリトルベビー育児の実態や、リトルベビーを支えるシステムなどについてお伝えします。
取材・文/関口千鶴
関口 千鶴
大学卒業後、出版社にて編集者として数多くの雑誌・書籍を手掛ける。その後、親子カフェ経営を経て、独学で保育士免許を取得。現在は、幼児教育・子育て支援・絵本などを中心としたフリーランスの編集者・ライターとして活動中。 ●Instagram chise_kanon
大学卒業後、出版社にて編集者として数多くの雑誌・書籍を手掛ける。その後、親子カフェ経営を経て、独学で保育士免許を取得。現在は、幼児教育・子育て支援・絵本などを中心としたフリーランスの編集者・ライターとして活動中。 ●Instagram chise_kanon
小林 恵
栃木県のリトルベビーサークル「にちにちらんらん」代表。2018年に493gで男児を出産。リトルベビーの親として、栃木県で初めてのリトルベビーサークルを立ち上げ、2023年3月には「とちぎリトルベビーハンドブック」が完成した。5歳になるかなめちゃんは元気に成長中! ●インスタグラム nichi.nichi_ran.ran
栃木県のリトルベビーサークル「にちにちらんらん」代表。2018年に493gで男児を出産。リトルベビーの親として、栃木県で初めてのリトルベビーサークルを立ち上げ、2023年3月には「とちぎリトルベビーハンドブック」が完成した。5歳になるかなめちゃんは元気に成長中! ●インスタグラム nichi.nichi_ran.ran