【春に贈りたい絵本】子どもの感性が伸びる「春を感じる名作絵本」3選[絵本専門店の書店員が選出]

子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #15~春を感じる絵本~ (2/4) 1ページ目に戻る

ブックハウスカフェ店長:茅野 由紀

心に春風が吹き抜けるような一冊

ぽかぽかと、明るい日差しが心地よい春。寒さで縮こまっていた体も背筋がピンと伸び、心も弾みますよね。今回は、そんな春を絵本で味わえる名作を選んでみました。お子さんへプレゼントして、この季節を届けてみてはいかがでしょうか。

最初にご紹介するのは、『あ、はるだね』(講談社)。原題は『and then it's spring』で、2012年にアメリカで刊行。権威ある絵本賞のひとつであるコルデコット賞を受賞した作家、エリン・E・ステッドによるベストセラー絵本です。

『あ、はるだね』(文:ジュリー・フォリアーノ、絵:エリン・E・ステッド、訳:金原瑞人/講談社)
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主人公は、赤いマフラーにニット帽姿の男の子。そばには、彼の愛犬と小さな亀もいます。雪がとけた大地は一面、茶色の世界です。

「よし、たねを うえよう。」

男の子は穴を掘り、花や野菜の種を蒔きます。そして、芽が出るのを待ちました。

「まだ ちゃいろ。」
「これ、ちょっと みどりっぽい?」
「いや、ちゃいろだよな。ちゃいろだ。」

雨が降るように祈ったり、鳥が種を食べないか心配になったり。男の子は愛犬や亀と一緒に、ただひたすらに待ちました。

1週間、また1週間、それからまた1週間……。冬の長さを追っているかのような、ゆっくりとした時の流れ。淡々と描きながらも、春を心待ちにしている男の子の想いが見事に表現されています。

そして、ついに──。最後の見開きいっぱいに描かれた、美しい春の風景。すがすがしくて、心の中に春風が吹き抜けるようです。

自然が相手だと、自分の思いどおりにはいきません。雨が降るのも降らないのも、寒いのも暖かいのも、私たちはどうにもできないけれど、いつかはきっと芽が出る。そんな人生のエールのようにも読み取れて、春から新しい生活が始まるお子さんへのギフトにもぴったりだと思います。

愛犬と亀のサイドストーリーにも注目です。エリン・E・ステッドが描く動物はとてもかわいらしくて、彼らには彼らで考えていること、楽しみにしていることがあるのだと想像しながら読むと楽しいですよ。

次は“春とおしゃれ”でご機嫌になれる絵本

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