
【春に贈りたい絵本】子どもの感性が伸びる「春を感じる名作絵本」3選[絵本専門店の書店員が選出]
子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #15~春を感じる絵本~ (4/4) 1ページ目に戻る
2026.03.22
ブックハウスカフェ店長:茅野 由紀
日本一遅く開花する桜の力強さを描く
最後にご紹介するのは、桜が開花するまでを綴った写真絵本『さくららら』(アリス館)。
舞台は、国内最寒気温マイナス41.2度を記録したこともある、北海道北部の幌加内(ほろかない)。主人公は、この町に咲く低木のチシマザクラ「さくらちゃん」。さくらちゃんの語りで物語は進みます。
本州が桜色に染まる4月、さくらちゃんは雪の中。「ここに いるよ」と、私たちに語りかけます。
雪解けが進んだ5月、「ああ おもかった」と、姿を現します。そうしてゆっくりと、開花の準備を始めるのです。
「ねむりすぎだよ さくらちゃん」
「ほかのさくらと ぜんぜんちがう」
「おーい ちびすけ もう春だぞ おきてるか」
鳥や周りの木たちに失礼なことを言われても、さくらちゃんはお構いなしです。
「わたしがさく日は わたしがきめる」
「おそくたって これがわたし」
「ちいさくたって これがわたし」
作者・升井純子さんの力強い言葉と共に、ページいっぱいに写された満開のさくらちゃんは圧巻の美しさ。たんぽぽやつくし、うさぎなど、春の日差しをいっぱいに浴びた動植物たちにも元気をもらえます。写真家・小寺卓矢さんは、この絵本の撮影に7年もの歳月を費やしたそうです。
写真絵本の魅力は、その瞬間、必ずその場所にあったものだけを写していること。そして、“みんなが同じ景色を見ているとは限らない”と気づかせてくれること。写真の真髄も味わえますよ。
人間は勝手なもので、桜が美しいのは春だと言いますが、365日一生懸命生きている桜には関係のないことです。
私が咲きたいときに咲く、誰になんと言われようと、これが私──。
美しい春の風景と共に、そんなさくらちゃんの生き様もお子さんへメッセージとして届けられるのではないでしょうか。
取材・文/星野早百合
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星野 早百合
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。


















































































茅野 由紀
1万冊を超える絵本を取り揃えた、子どもの本専門店「ブックハウスカフェ」(東京・神保町)店長。2005年から絵本の世界に携わり、20年。新聞などのメディアで書評やコラムを連載するほか、教育機関で講師も務める。2児の母。 ●ブックハウスカフェ
1万冊を超える絵本を取り揃えた、子どもの本専門店「ブックハウスカフェ」(東京・神保町)店長。2005年から絵本の世界に携わり、20年。新聞などのメディアで書評やコラムを連載するほか、教育機関で講師も務める。2児の母。 ●ブックハウスカフェ