野間出版文化賞にナガノさん青山剛昌さんら、児童文芸賞に『杉森くんを殺すには』が決定【野間4賞発表】

第77回野間文芸賞/第46回野間文芸新人賞/ 第62回野間児童文芸賞/第6回野間出版文化賞

「野間4賞」の発表記者会見が、11月5日(2024年)に帝国ホテル(東京・千代田区)で開催された。

第77回野間文芸賞(野間文化財団主催)が発表され、中村文則さんの『列』(講談社)に決まった。

第46回野間文芸新人賞は、豊永浩平さんの『月ぬ走いや、馬ぬ走い』(講談社)。

第62回野間児童文芸賞は、長谷川まりるさんの『杉森くんを殺すには』(くもん出版)。

第6回野間出版文化賞は、新潮文庫 ガルシア=マルケス『百年の孤独』プロジェクトチーム、イラストレーター・漫画家のナガノさん、特別賞には漫画家の青山剛昌さんが選ばれた。

「野間文芸賞」は小説・戯曲・評論・その他で、選考対象期間の中で新しく発表された作品が対象。「野間文芸新人賞」は選考対象期間の中で新しく発表された小説作品の中から、最も将来性のある新人の優秀作を選ぶ。

「野間児童文芸賞」は児童を対象として創作された小説・童話・戯曲・ノンフィクション・詩・童謡・その他で、選考対象期間中に新聞・雑誌・単行本等で新しく発表された作品が対象。「野間出版文化賞」は従来の出版の枠にとらわれず、出版にまつわるすぐれた表現活動を行った個人・団体などを顕彰することを目的とした賞。

副賞は「野間文芸賞」が300万円、「野間文芸新人賞」が100万円、「野間児童文芸賞」が200万円、「野間出版文化賞」が各100万円。

第77回 野間文芸賞 受賞作品

『列』中村文則

<プロフィール>1977年(昭和52年)9月2日、愛知県東海市生まれ。47歳。2002年『銃』(新潮社)で第34回新潮新人賞を受賞、2004年『遮光』(新潮社)で第26回野間文芸新人賞、2005年『土の中の子供』(新潮社)で第133回芥川龍之介賞、2010年『掏摸(スリ)』(河出書房新社)で第4回大江健三郎賞、2016年『私の消滅』(文藝春秋)で第26回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。2014年には米国のDavid L. Goodis賞を受賞。他の著書に『何もかも憂鬱な夜に』(集英社)、『去年の冬、きみと別れ』(幻冬舎)、『教団X』(集英社)、『あなたが消えた夜に』(毎日新聞出版)、『R帝国』(中央公論新社)、『カード師』(朝日新聞出版)、『自由思考』『自由対談』(共に河出書房新社)などがある。

第46回 野間文芸新人賞 受賞作品

『月ぬ走いや、馬ぬ走い』豊永浩平

<プロフィール>2003年(平成15年)、沖縄県那覇市生まれ。21歳。琉球大学人文社会学部在学中。2024年、「月ぬ走いや、馬ぬ走い」で第67回群像新人文学賞を受賞。著書に『月ぬ走いや、馬ぬ走い』(講談社)。

第62回 野間児童文芸賞 受賞作品

『杉森くんを殺すには』長谷川まりる

<プロフィール>1989年(平成元年)10月22日、長野県諏訪郡原村生まれ、東京都青梅市出身。35歳。職業能力開発総合大学校東京校産業デザイン科卒。「お絵かき禁止の国」で第59回講談社児童文学新人賞佳作受賞、同作で講談社よりデビュー。『かすみ川の人魚』(講談社)で第55回日本児童文学者協会新人賞を受賞。ほかの作品に『満天inサマラファーム』(講談社)、『キノトリ/カナイ 流され者のラジオ』(静山社)、『砂漠の旅ガラス』(小学館)などがある。

第6回 野間出版文化賞 受賞者

新潮文庫 ガルシア=マルケス『百年の孤独』プロジェクトチーム

<プロフィール>『百年の孤独』の文庫化に際して結成されたチーム。新潮文庫は1914(大正3)年、ドイツのレクラム文庫やイギリスのカッセル文庫にならって創刊され、第1期の初回配本はトルストイ『人生論』(相馬御風訳)、ギヨオテ『若きヱルテルの悲み』(秦豐吉訳)、マルコ・ポーロ『マルコポーロ旅行記 上』(生方敏郎訳)、ダスタエーフスキイ『白痴 一』(米川正夫訳)、イブセン『イブセン書簡集』(中村吉藏訳)、ツルゲーネフ『はつ戀』(生田春月訳)の6冊。今年創刊110年を迎えた。

ナガノ

<プロフィール>イラストレーター、漫画家。2014年にLINEクリエイターズスタンプで「自分ツッコミくま」(現ナガノのくま)を発表。Twitter(現X)上にて発表した同キャラクターが登場する食レポ、日常を描いたエッセイイラストが人気を博する。2018年、「Dモーニング」(講談社)にて『MOGUMOGU食べ歩きくま』連載開始。その後、2020年Twitter(現X)にて連載を開始した『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』は、2024年11月時点で単行本累計発行部数360万部(電子含む・講談社刊)を突破したほか、2022年にはTVアニメが放送開始となった。2024年には同作で第53回日本漫画家協会賞大賞 萬画部門を受賞。

【特別賞】青山剛昌

<プロフィール>1963年、鳥取県生まれ。61歳。1986年、『ちょっとまってて』で第19回小学館新人コミック大賞入選、デビュー。1988年、「週刊少年サンデー」にて『YAIBA』の連載を開始し、同作で第38回小学館漫画賞(児童漫画部門)を受賞。1994年に「週刊少年サンデー」で『名探偵コナン』の連載を開始。同作は1996年よりテレビアニメ化、1997年には映画シリーズ第1作が公開となった。2001年、『名探偵コナン』で第46回小学館漫画賞(少年部門)を受賞。2021年には『名探偵コナン』テレビアニメ化25周年を迎え、同年に『名探偵コナン』のコミックス第100巻が発売となった。2024年には『名探偵コナン』が「週刊少年サンデー」連載30周年を迎えた。