保健室の先生直伝! 子どもが自ら話し始める「子どもの心をきく」3つのテクニック
我が子との心の距離が縮まる! 保健室の先生に学ぶコミュニケーション術#3
2022.11.16
学校での出来事が気になるときはどんな会話をすればいい?
我が子の学校生活や友達との関係は気になるところです。次のような会話例が考えられるでしょう。
■先生と何かあったのか知りたいとき
(1)「見る(全体を把握する)」×「観る(子どもの変化を確認する)」で違和感に気づく
子どもからのサイン例:ため息をつく、食欲がない、先生の悪口をいう など
(2)「視る(不調の兆しをみつける)」×「聴く(傾聴する)」で探る
親「(食事中に軽く)最近、学校はどう?」
子「別に」
親「先生は優しそうだけど、怒ったりする?」
子「(気まずそうに)優しいけど、怒ることもあるよ」
親「へぇー怒るんだ。あなたはどんなことで怒られたことがあるの?」
子「授業中にふざけていたら、𠮟られた」
(3)「看る(会話を重ねる)」でフォローする
親「そうなの。もしかしたら先生は、あなたは何の時間かちゃんとわかる子だと思ったから、期待をこめて𠮟ったのかもしれないね」
先生から𠮟られてしょんぼりしていたときは、先生との仲が気まずくならないようにフォローしてあげましょう。明日も学校に行けるように、気持ちを切り替えられる言葉を足してあげることが大切です。
■友達との関係を知りたいとき
(1)「見る(全体を把握する)」×「観る(子どもの変化を確認する)」で違和感に気づく
子どもからのサイン例:機嫌が悪い、口数が少ない、何かを気にしている など
(2)「看る(会話を重ねる)」×「聴く(傾聴する)」で探る
親「学校で風邪が流行っているみたいね。お友達はみんな元気?」
子「元気だけど……、◯◯ちゃんに無責任っていわれた」
親「◯◯ちゃんに無責任っていわれて、びっくりしたね。どうして◯◯ちゃんはそういったのかな?」
子「んとね、たぶん、ぼく/わたしが黒板消しの係を忘れたからだと思う」
(3)「看る(会話を重ねる)」×「訊く(知りたいことを尋ねる)」でさらに会話を重ねて、気づきを与える
親「どうして忘れちゃったのかな?」
子「△△くんとおしゃべりしていたら、忘れたの」
親「今日はおしゃべりが楽しくてうっかりしちゃったんだね。次は何の当番が回ってくるの? どうしたら、忘れないようにできるかな?」
子どもの世界では些細な失敗が心の負担になることがあります。友達に指摘されたことを気にするケースも多く、ショックを受ける子は後を絶ちません。
子どもに失敗があった場合は、子ども自身が受けているショックを受け止めてあげることと、次はどうしたらミスを減らせるか一緒に考えてあげるといいでしょう。「次はいつ当番が回ってくるの?」と、次回のイメージを膨らませてあげるのも手です。
──────ここまで会話例を3つ紹介しましたが、いずれにしても「お母さん(お父さん)はいつでもあなたの助けになってあげるよ」との姿勢がベースに流れています。おうちの方はいつ、どんなときも我が子の味方であることが重要です。
親もSOSを出していい
悩みは言葉にした時点で軽くなっていきます。もしおうちの方が子育てでの悩みが大きくなったときは、担任の先生や養護教諭、学校に定期的に来ているスクールカウンセラーに相談してもいいでしょう。
登校しぶりや家庭発端のストレスで子どもの身体に影響が見えたときなどは、学校関係者が子どもだけでなくおうちの方の力になってくれます。必要なら病院や他の専門家につなげることもできますので、周囲にSOSを出すことをいとわないでください。