最新ランドセルは個性化が白熱! 思わず振り返る“アート系ランドセル”が続々

最旬! ラン活2025 #4 ~アート系ランドセル編~

ライター:遠藤 るりこ

背負うだけで気分がアガりそうな個性派ランドセル。注目の新作4社にインタビュー。  写真提供:アークズ

ランドセルの軽さや機能性、耐久性、価格、保証……等々、スペックを比べて選び始めると、なかなかひとつに絞れないというのも正直なところ。そんなときの決め手はやっぱり、「色やデザインが好みかどうか」ではないでしょうか。

保護者はつい「6年間使うから飽きないよう、なるべくシンプルで、無難なカラーで……」と考えがちですが、一番大事なことは、子どもたちがお気に入りのランドセルを背負って、楽しく日々を送れること!

「背負うだけで楽しくなる!」を大切に、これまでのランドセルのイメージを刷新する、アーティスティックなランドセルを作る4社にインタビューしました。

※4回目/全5回(#1#2#3を読む)

馴染みのあるモチーフで楽しさを表現

自社工場でランドセルを生産しているconosaki(コノサキ)。さまざまなコンセプトで、デザイン性の高いランドセルをラインナップしています。

2025年度向けの新シリーズ「tecrea(テクリア)」の○△□(まるさんかくしかく/全6色、69,000円・税込)は、ランドセルのカブセ(ふたの部分)全面に、大胆に刺繡をあしらったデザイン。

カブセ裏や側面にまで○△□が登場する、細部にもこだわったデザイン。  写真提供:conosaki

「子どもたちに馴染みが深い○△□のモチーフを使用することで、子どもらしい愛嬌とポップさ、キャッチーな楽しさを表現しました」(conosaki ディレクター・森野義隆《もりの・よしたか》さん)

○△□のポップなモチーフは抽象画のよう。刺繡ならではの質感や肌触りも、子どもたちの感性を大いに刺激しそうです。

実際に背負ってみた親子からは、「刺繡と色のバランスが良い」、「一見、主張が強いかなと感じたけれど、実物を背負うと一体感があってオシャレ」との意見が。

個性的なものが好き、人とかぶりたくない、これまでに見たことがないランドセルがほしい。そんな子どもたちにぴったりのモチーフです。

今こそ温故知新なランドセルを

「ランドセルは今、新しい時代へと変化をする過渡期だと感じています」と話すのは、宮崎県のカバン専門店「株式会社バッグのあつた」代表取締役・熱田陽子さん。

ランドセルのデザインや選択肢がどんどん多様化するなかで、専門店だからこそランドセル本来の役割や時代背景を大切に伝えていると言います。

「転落や事故など、もしものときのプロテクト力と安全性を備えているのは、伝統的なカタチや素材だからこそ。これまで継承されてきた機能性や耐久性を守りながら、変わりつつある子どもたちの感性をくすぐる“温故知新なランドセル”が必要と考えました」(ウフプラス・熱田さん)

そんな思いから作られたのが、2024年にデビューしたOeuf+(ウフプラス)のランドセル(全5色、79,200円・税込)です。

半カブセにすることで、大切な機能を削ることなく軽量化を実現。カブセ前面には取り外し可能なリボンがつけられる、オリジナリティあふれるデザインです。

クラシックな中に、今っぽさが光るデザイン。オプションのリボン(全色、1200円・税込)は着せ替えが楽しめる。  写真提供:ウフプラス

商品開発を担ったのは、現役のお母さんスタッフたち。熱田さん自身も、ランドセル販売28年のキャリアと、子どもを育てた母親の視点から開発に関わっています。

「ランドセルをファッションとしても楽しんでもらえたら。新しい世代の感覚に合うランドセルとして、たくさんの子どもたちに背負ってもらえたらうれしいです」(ウフプラス・熱田さん)

子どもたちの進化と変革を表現

「後ろ姿に、感性を。」をコンセプトに掲げるランドセルブランド・アーティファクト。多様性を尊重したデザインを心がけ、さまざまなシリーズを揃えるなかで、2023年にデビューしたのがTone(トーン)です。

「今は、いろいろな選択肢がある時代。まずランドセルそのものの概念から見直した商品を作ろうと思ったのがきっかけでした」と話すのは、株式会社ラ・ポンテ マーケティング事業部の背俊幸(せい・としゆき)さん。

Toneのランドセルでパッと目を引くのが、半カブセの左右に施したデザインカット。角を少しカットしたシンプルな加工でありながら、従来のランドセルの雰囲気を一新する個性的なシルエットに。1070gの軽量化も実現しました。

2025年度向けには新色・ルミナスイエロー(写真上の中央)を追加。シンプルながら、後ろ姿が映える。  写真提供:アーティファクト

「デザイン性と軽量化を両立させた新しいランドセルに仕上がったと思います。また、性別問わず色を選んでいただけるよう、人気の高いカラーをオフホワイトやブラウン系などと組み合わせ、バイカラーに仕立てました」(ラ・ポンテ・背さん)

使い心地にも一工夫。錠前部分にはFIDLOCK社製のマグネットバックルを採用。ワンプッシュで簡単に開け閉めできる独特の使い心地で、子どもたちの心をつかんでいます。

前も後ろも光る「安ピカッ」機能(写真左)と、ワンプッシュの錠前(写真右)。軽く感じる肩ベルトなど、従来のランドセルの背負い心地、耐久性、安全性はそのまま。  写真提供:アーティファクト

子どもへエールをこめた斬新デザイン

アウトドア好きなパパが、わが子のラン活経験をもとに開発したノロッカの「自由なランドセル」(スタンダードモデル/全4色、46,200円・税込)。アウトドアギアから得た発想や発明が細部にちりばめられた、新機構のランドセルです。

「子どもたちへ『楽しんでいってらっしゃい』とエールをこめて、『ワクワクするようなデザインをランドセルに落とし込めないか』と思いついたのが、着せ替えができるフラップです。フラップとは一般的なランドセルのカブセ部分ですね」(株式会社アークズ、村住明彦《むらずみ・あきひこ》さん)

2023年より、ノロッカに賛同したアーティストやブランドとのコラボを開始。コラボ第1弾は、アウトドアブランドとして人気のハーフトラックプロダクツとのフラップ(自由なランドセル コラボモデルby Half Track Products/49,500円・税込、フラップ単体/18,700円・税込)です。

ランドセルでは類を見ない斬新なデザイン。ランドセルは上開き仕様の新機構で、使い方も新しい。  写真提供:アークズ

「ペンキを飛ばして描くスプラッシュペイントのデザインは、『自由さ、楽しさ』を表現するのにぴったりなグラフィック。子どもたちには思い思いの色で自由に、のびのびと学校生活を楽しんでほしいという想いを込めました。インパクトのある柄でありながら本当に多くの親子に選ばれていて、時代の変化を感じます」(アークズ・村住さん)

着せ替えできるフラップは、毎年新しいデザインやコラボモデルを発表。2024年3月には、B:MING by BEAMSの別注モデルも続々登場しました。

2024年3月にB:MING by BEAMS 別注モデル全4種を発売(49,500円・税込)。ランドセルとしては初めて見る柄の提案にワクワク。  写真提供:ビームス

「アーティストやブランドが、ノロッカのフラップをキャンバスにして、子どもたちの学校生活へエールをのせてくれています。フラップは変えられるので、6年間で好きなものが変わってもいい。成長する子どもとともに、その時々で『今はこれが好き!』と思えるデザインを選んでほしいと願っています」(アークズ・村住さん)

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次回2025年度向けランドセル連載最終回は、ランドセル購入時に合わせて用意したい便利アイテム。夏を乗り切る熱中症対策アイテムに、最新防犯アイテムなどを紹介します。

取材・文/遠藤るりこ

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【取材協力と新作ランドセル】

・株式会社榮伸(conosaki)
tecrea ○△□(まるさんかくしかく) 全6色/69,000円(税込) ※2024年2月1日より販売開始

・株式会社バッグのあつた
Oeuf+(ウフプラス) 全5色/79,200円(税込) ※2024年2月7日より発売開始(オンランストアは2024年2月13日より受注開始、店頭発売は2024年4月23日より開始)

・株式会社ラ・ポンテ(アーティファクト)
Tone/トーン 全7色/73,700円(税込) ※2024年2月6日より新色追加

・株式会社アークズ(norokka/ノロッカ)
自由なランドセルスタンダードモデル 全4色/46,200円(税込)
自由なランドセルコラボモデル 49,500円(税込) ※ビームスコラボモデルは2024年3月より開始

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【関連サイト】
conosaki
Instagram conosaki
LINE conosakiのランドセル
Youtube conosaki ransel
株式会社バッグのあつた(Oeuf+/ウフプラス)
ARTIFACT(Tone/トーン)
株式会社アークズ(norokka/ノロッカ)

※「最旬! ラン活2025」は全5回です(公開日までリンク無効)。
#1
#2
#3
#5

えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe