脳科学者が解説 【子どもの脳の発達】大事なのは「自己肯定感」と保護者の「ぶれない軸」

子どもの人生は子どものもの 親は子どもを生きがいにしてはいけない

〈Photo by iStock〉

「発達障害」のようなようすが見られる子が増えている昨今、そのようなようすを見たらどうしたらよいかを小児科医で発達脳科学者の成田奈緒子先生にうかがう本連載。これまで、生活習慣の見直しや、脳の正しい育て方について、うかがってきました。第3回は、子どもの脳の発達を助けるために、私たち大人ができることを、監修書籍『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』から抜粋してお届けします。

全3回の第3回
第1回を読む
第2回を読む

子どもの「自己肯定感」を育てよう

ほめるのではなく子どもを認める

「発達障害」や、「発達障害」を疑われる子どもは、自己肯定感が低い傾向があります。自己肯定感を高めようとして無理にほめなくてもいいのです。子どものいいところをみつけて認めましょう。

子どもの自己肯定感が低いのは、親が常に子どもを心配し、過剰に手をかけていることも要因のひとつです。子どもは心配されてばかりいる自分を、親に信頼されていない自分だと感じます。それはダメな自分でもあります。これでは自己肯定感が高まりません。

自己肯定感を高めるには、子どもをほめるといいと言われますがじつはほめるのは難しいです。成績に目がいきがちだからです。点数や結果ではなく、成長を認めましょう。子どもを信頼し、いいところをみつけましょう。みつけたことを言葉にすれば、不自然なほめ方にはなりません。

〈『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』より〉

家庭のなかに役割を与える

子どもの自己肯定感を高めるには、家庭のなかに役割を与え、それをおこなったら親から感謝を伝えるのがよい方法です。そのとき「洗濯物をたたんでくれる?」などと、お願い口調にする必要はありません。子どもは家族の一員ですから、能力に応じて家事を受け持つのが当然です。親の「お手伝い」ではなく、家族それぞれが果たす役割なのです。

役割は、たとえ試験期間中でも、例外ではありません。勉強の時間を調整して、やるべきことはやらせましょう。役割を与えて果たさせることは、大人になってから、社会での役割を果たすことにつながります。こころの脳が育ち、自分をフルに活かせる人間になるでしょう。

次のページへ 正論を言うより、バレていると気づかせる
33 件