「11時間保育」は大人でも疲れる…保育の専門家・大豆生田先生が教える「帰宅後の修羅場」の処方箋

育児の「困った」を解決する4つのポイント【長時間保育#後編】 (3/5) 1ページ目に戻る

髙崎 順子

保育時間の長さよりも「質」が重要

写真:maroke/イメージマート
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現在の日本では「1日最大8時間~11時間」が保育標準時間とされていますが、この「標準」は、何を根拠に設けられたのでしょうか。

「子どもにとってこれくらいの集団保育時間が望ましいと考えられたのではなく、共働きの広がりなど親の働き方の実態を踏まえて設定されたと考えられます」と大豆生田先生は説明します。

「通常保育の標準時間は施設ごとにばらつきがありましたが、全国基準で最大11時間とされたのは、2015年の子ども・子育て支援新制度(※2)からです。共働きの保護者が増えていく中、フルタイムの勤務・通勤時間を考えて、何時間の保育が必要か?と検討されました」

「仕事と家庭の両立を支援するために、親の働き方に合わせて標準保育時間を11時間にした、という経緯があります」

保育時間の長さに関する研究では、子どもの育ちに影響を与えるのは、保育時間の長さよりも「質」が重要、との示唆が多くなされています。「良質な保育であれば、3歳未満の集団保育は子どもの育ちにプラスに働く」という研究もあります。

保育時間が長くなる影響、どこに出る?

これらの研究結果を踏まえつつも、保育の現場をよく知る大豆生田先生は、その「質」の維持の難しさを指摘します。

「保育時間が延びて、子どもと関わる時間が長くなると、保育士の側にはその分負担がかかります。保育の質が保ちにくくなる中、日本では現場がかなり努力して、働き方改革にも取り組んでいます。ですが現状ではやはり、無理がかかっているところはあります」

保育の標準時間が長くなると、保育園は時間が延びた分だけ多く、保育士たちの労務と人員の管理をしなくてはなりません。

職場の1日の稼働時間が3時間長くなれば、管理がより複雑になるのは、保育園でも一般企業と同じです。

「11時間の保育標準時間は国際的に見ても長く、かなり長時間保育だと言えます。研究的にはこの標準時間で『悪影響がある』とは明確に言えませんが、それが子どもたちにとって良いことかどうかは問い直しが必要、というのが私の意見です」

大人でも11時間職場に居続けるのは、疲れること。

子どもたちも同じで、集団の中で11時間過ごすのは、やはり疲れるものなのです。

「保育園も、子どもたちにとっては他者と暮らす社会です。社会の中ではなかなか自分の思いが受け入れられなかったり、他の子どもからイヤなことを言われるときもあります」

日本では企業の働き方改革が進み、母親だけではなく父親も、育休を取得しやすくなっています。

ここからさらに、子どもを長時間預けなくてもいい働き方や仕組みが作られていくことが望ましいと、先生は言い添えます。

「育児の困った」を解決する4つの大事なポイント

長時間の保育では、大人が疲れるように、子どもたちも疲れる──それを理解しながら、家庭での生活ではどんなことに気をつけたらよいでしょうか? 「あるある」な4つの場面について、大豆生田先生に聞きました。

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