難関中学で「食」の入試問題が増えた2つの理由 「受験食事」の専門家が「万能な食事」を解説

【子どもの学力を伸ばしたければ子どもに料理をさせなさい #1】朝ごはんと味噌汁が「最強の食材」の理由

朝に一杯の味噌汁が脳の働きを目覚めさせる

成長期の子どもの健康を第一に考えるといっても、どうしたら良いのか、何を食べさせたら良いのか悩む親御さんもいるでしょう。

その一つの答えとして、表さんは朝ごはんの重要性を説き、朝に食べると良いのは味噌汁だといいます。

「近頃ブームになった『腸活』では、腸内フローラを整えて善玉菌を増やすために、発酵食品が注目されています。なかでも生味噌は胃にも優しい日本の伝統食。生味噌に含まれる消化の良いタンパク質や酵素が、腸内環境を整え代謝を高めて体を温める働きをしてくれます。

起き抜けの胃は空っぽで体温が低くなっているので、体温を上げてくれる味噌汁がうってつけです。体温が上がると免疫力も高まり、一日を元気に過ごすことができます。

また、塾の先生も朝に一杯の味噌汁効果を認識していて、朝ごはんがパン食でも必ず味噌汁を出してください、と保護者会で言っているほどです」(表さん)

味噌汁というと豆腐やわかめ、なめこなどの具で純和風のイメージがあり、パン食に合わないイメージもあるでしょう。しかし表さんは「味噌味のスープ」ととらえ、洋風のメニューにも合わせやすい味噌汁も開発しています。

ただし、表さんが朝ごはんに推奨している主食は、パン食ではなくご飯食です。パンは血糖値を急上昇させたのち、急降下させます。しかしご飯なら、血糖値が少しずつ上がるので体への負担が最小限で済みます。

インスリンを緩やかに分泌するご飯に、足りない栄養素を味噌汁で補うと、体内時計が整いやすくなり、脳の活性化が見込まれることが科学的にわかっています。

ご飯は茶碗盛りではなく、具を入れたおにぎりにすることで十分な朝ごはんへと変わります。味噌汁はサラダとして生で野菜を摂るよりも、たくさんの野菜を摂ることのできる優れたメニュー。おにぎりと味噌汁は手軽に短時間で用意できて栄養も摂れる、一石二鳥のありがたい組み合わせです。

子どもに大人気の洋風味噌汁「枝豆塩昆布おにぎりとコーンクリーム味噌汁」のレシピ

枝豆とコーンは、子どもに大人気の組み合わせです。  撮影:柿崎真子

枝豆塩昆布おにぎり

【材料】(1人分)
ごはん 100g
枝豆(冷凍) 10さや
塩昆布 大さじ1

【作り方】
① 枝豆は解凍して、さやから出す。

② ご飯に①、塩昆布を混ぜて三角形に握る。

コーンクリーム味噌汁

【材料】(1人分)
水 150ml
味噌 小さじ1
コーンクリームスープの素(市販・顆粒) 1/2袋(約9g)
※コーンクリーム缶100gでもOK。その場合は水をだし汁50mlに変更し、味噌を小さじ2にする。

【作り方】
① 鍋に水を入れて中火にかけ、沸いたらコーンクリームスープの素を入れて混ぜ合わせる。

② 火を止めて味噌を溶き入れる。

コーンクリーム味噌汁は、飲んだあとに味噌が入っていると知って驚くくらい、味噌汁っぽくありません。火を使わずに、ポットのお湯を使って子どもが自分で作ることもできるので、混ぜる作業は調合している感覚が楽しめます。

枝豆塩昆布おにぎりとコーンクリーム味噌汁の組み合わせは、食物繊維が豊富な枝豆と昆布を味噌汁と同時に摂れるので、効率よく腸を整えられ便秘解消も期待できます。朝から塩分のある味噌汁を飲むことで、暑い時期は熱中症対策にも有効です。

そしてここで重要なのが、味噌を摂ることです。温かい味噌汁にこだわらず、味噌を口にすることが肝心です。

夏場は朝から温かい味噌汁を飲むのを、つらいと感じるかもしれません。そんなときは、体を冷やす効果のあるトマトやキュウリなどの夏野菜を入れてひと煮立ちさせた味噌汁を作り、冷ましてからいただくと体のほてりが抑えられます。

「味噌汁の具材は和のもの」という固定概念を捨て、季節に合わせた旬の野菜を具にしてみると、栄養価も高く、新しいバリエーションの発見にもつながります。具材を子どもと話し合って決めて調理すれば、親子のコミュニケーション増にも役立つでしょう。子どもが料理に関わると好き嫌いを言わずに残さず食べられるようになり、良いことずくめです。

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