【切り干し大根を楽しむ】「MOTTAINAI」 台所から未来の子どもを支えるごはん 

もったいない・つづけられる・伝統食! #3【切り干し大根】「はざかい期に楽しむ切り干し大根料理」

ライター・料理家:越野 美樹

煮物だけじゃない! 子どもも美味しく食べられる簡単切り干し大根料理。左上:切り干し大根のナポリタン風 中央:切り干し大根のスペイン風オムレツ 右上:切り干し大根のヨーグルトサラダ  写真:越野美樹

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「食べたいものは自分で作る!」をモットーに、料理家・越野美樹さんが「日本の伝統食材」を使ったレシピを提案する連載(全7回)。

ロハス、エシカル、SDGsなどのオシャレな横文字ではなく、毎日のベタでリアルな生活の中から生まれた身近な知恵……。

小さい子がいて忙しくても、ゆるく続けられる台所仕事の「MOTTAINAI」を、具体的な実践方法を交えてお伝えします。    

3回目のテーマは、「切り干し大根」。  

ナポリタン風、ヨーグルト和え、スペイン風オムレツなど、簡単に作れて子どもも美味しく食べられる3品をご紹介します。    

思わず一緒に作りたくなる「お手伝いポイント」も載せていますので、親子で一緒に楽しんでくださいね。    

「MOTTAINAI」  台所から未来の子どもを支えるごはん 全7回を読む

野菜が少なくなる「はざかい期」には乾燥野菜を

はざかい期には切り干し大根などの乾燥野菜を常備しておくと便利! 写真:越野美樹

暦の上では春でも、まだまだ寒いですね。    

この時期は、冬野菜がだんだん終わりとなり、春の野菜ができるまで、畑でほとんど野菜が収穫できなくなる「はざかい期」です。    

スーパーにはきれいに野菜が並んでいますが、ハウスで作った春野菜や夏野菜、保存しておいた冬野菜がほとんどで、旬の野菜は少ない状況。    

旬の時期ではない野菜は価格も高めになることが多く、野菜を食べたいけれど値段に驚いて手が出ないこともありますよね。    

そんなとき、我が家では乾燥野菜をよく使います。    

特に切り干し大根は一年中常備していますが、大根がたくさん手に入る時期には、自宅で干すこともあります。    

千切りするのは大変なので、薄く輪切りにしてしっかり乾くまで乾燥させることもあれば、大きめに切って2〜3日干して、生の大根と食感の違いを楽しむこともあります。    

軽く干した大きめの大根は程よく水分が抜けて、スープや煮物にすると風味が豊かで、甘みが出て、重宝します。    

娘が2歳くらいの頃、切り干し大根をそのまま食べるのが好きで、スルメのようにしゃぶっておやつにしていました。    

娘は切り干し大根が今でも好きですが、独特の食感と香りがするので、嫌がるお子さんもいますよね。    

また、切り干し大根で何を作ったらいいかわからない方も多いと思います。    

今回は、手軽に手に入る、千切りの切り干し大根を使い、簡単に作れて子どもも喜ぶ3品をご紹介します。  

切り干し大根は大根よりも栄養価が高く、実は手軽に使える便利な食材です。  

まずは、切り干し大根の特徴からお伝えしますね。

栄養価が高く手軽に使える切り干し大根

生の大根は90%以上が水分です。    

大根を干すことで水分が抜けて、例えばカルシウムは20倍以上も増えます。    

日本では昔から、はざかい期に備えて大根のほかにもいろいろな乾燥野菜を作ってきましたが、干すことで効率よく保存することもでき、栄養価も高く、一石二鳥といえるでしょう。

にんじんは干すと甘さが増して、とても食べやすくなります。 写真:越野美樹

切り干し大根などの乾燥野菜は、一般的にたっぷりの水で20分ほど戻してから使うことが推奨されていますが、私はさっと洗ったらそのまま使うことが多いです。    

例えば、切り干し大根の煮物なら、さっと洗って水気を切ったら、油揚げや拍子木切りにしたにんじんと一緒に水から煮ていくと、ちゃんと柔らかくなり、切り干し大根から出汁も出て、美味しく仕上がります。

切り干し大根はさっと洗ってすぐに使えるので、常備しておくと便利。 写真:越野美樹

また、切り干し大根のハリハリ漬けは、中学生の娘が小さい頃から大好きな一品。

さっと洗って水気を切った切り干し大根と千切りしたにんじんを保存容器に入れ、米酢やお醤油、煮切った本みりんなどを入れて、半日ほど置いて水分を吸わせます。

切り干し大根とにんじんの食感が楽しく、さっぱりとしていくらでも手が出てしまうほど。

にんじんを切って調味料と和えるだけ。シャキシャキした食感がやみつきになります。 写真:越野美樹

乾物は手間がかかるというイメージがあると思いますが、割と手軽に使えるのです。

それでは、切り干し大根を使った子どもが喜ぶ3品をご紹介します。

「切り干し大根のナポリタン風」のレシピ

子どもも大人も大好きなトマトケチャップ味のナポリタン。パスタの代わりに切り干し大根を使うと、ヘルシーでおかずにもなり、独特な食感にハマります。 写真:越野美樹

【材料】4人分
切り干し大根 50g
玉ねぎ 1/2個
マッシュルーム 5個
ウインナー 3本
オリーブオイル 大さじ1
塩 ひとつまみ
日本酒 大さじ1
トマトケチャップ 大さじ3
コショウ 少々
粉チーズ 適量
乾燥パセリ 適量

【お手伝いポイント】
野菜を切って、炒めるのを手伝ってもらいましょう。

【作り方】
1. 切り干し大根はさっと洗ってザルにあげ、水気を切る。

2. 玉ねぎは繊維に沿って薄切りに、マッシュルームは薄切りに、ウインナーは斜め切りにする。

3. フライパンを弱火で熱してオリーブオイルを入れ、玉ねぎと塩を加えて、透明になるまで炒める。

4.  中弱火にして1とマッシュルーム、ウインナーを加え、鍋肌から水100ml(分量外)と日本酒を加えてフタをする。

5.  5分ほどして水気がなくなったら、トマトケチャップ、コショウを加えてさらに炒める。

切り干し大根はあらかじめ戻さなくても、フライパンで調理中に水分を吸ってふくらみます。 写真:越野美樹

6. 器に盛り、粉チーズと乾燥パセリをふる。

切り干し大根の洋風レシピ、いかがでしたか? お子さんも、きっと切り干し大根が好きになることと思います。

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