「自分で説明できる子」が育つ親と子の習慣とは?
【スペシャル対談】深沢真太郎✕川上徹也
2023.11.01
新刊『もえとかえる ことばのふしぎ大冒険』を上梓したコピーライターの川上徹也さんと、グラフィッククリエイターの春仲萌絵さん。ビジネス数学の第一人者であり、新刊『思いつきって、どうしたら「自分の考え」になるの? 直感を論理的な意見にする授業』を出版した深沢真太郎さんと、「子どものときから身につけたい言語化力」について語っていただきました。
川上徹也さん(以下、川上さん):
深沢さんとは以前から知り合いだったのですが、今回はたまたま、お互いの新刊の発売日がほぼ同じだったんですよね。
深沢さんの新刊は「言語化」がテーマですが、この本はどういう経緯で出版されたんでしょうか?
深沢真太郎さん(以下、深沢さん):
私はふだん、企業で研修などをしているのですが、そうしたなかで受講している皆さんに問題を出したりします。
簡単な損益の比較とか。そこで正解を出せた人に「どうやってこの正解にたどりついたんですか?」と質問すると、「いや、なんとなく……」と返ってくることが多い。
正解を導き出せても、そのプロセスを理解できていなかったり、理解できているとしてもそれを第三者がわかるように言葉を組み立てて説明することができない人がけっこういるんです。
そこで、ちゃんと自分の考えた道筋を言語化して、人に説明できるようになると、かなりその人の可能性が広がるのではないかと考えたんです。
川上さん:
これはお子さんの勉強でも同じですよね。直感で正解できるだけだと、いざ入試とかのときに応用ができない。
ふだん自分が解けている問題と同じプロセスで考えれば正解が導き出せるはずなのに、そのプロセスを理解していないから、ちょっと問題文が変わっただけでわからなくなるというお子さんは、少なくないと思います。
とはいえ、深沢さんの専門領域は数学で、素人目で見ると、数学と言語化という2つがなかなか結びつきにくいんですが、深沢さんはどういうアプローチで言語化のコツについて説明しているんでしょうか。
深沢さん:
数学とは、「数字と論理を使った説明」なんですね。
いちばんわかりやすいのは証明問題です。たとえば2つの三角形が合同かどうかを証明する問題というのは、「2つの辺とその間の角度がすべて同じ。だから、三角形の合同条件に当てはめて、この三角形とこの三角形は合同である」と説明することが求められます。
だから、数学的な考え方を身につけることができれば、その考え方を日常にそのまま応用して、理路整然とした説明ができるというアプローチです。