赤ちゃんが五感で喜ぶ「ウッドスタート」 “木育”の第1歩とは?

木育インストラクター・吉川美智子さんに教えてもらう「木育のはじめ方」#1 ウッドスタートにぴったりな木のおもちゃ3選

木の心地よい手ざわりや温もり、匂いや造形の面白さは赤ちゃんの五感を刺激します。
写真提供:アプティ
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“木育(もくいく)”とは、子どものころから、木や森とふれあうことで健やかな成長を促し、自然や環境問題を考えて行動できる人を育てる活動のことを言います。

たとえば、木のおもちゃで遊ぶこと、それもすでに“木育”です。さわり心地がよく、安心して自由な発想で遊べる木のおもちゃは、子どもの集中力や想像力、表現力を育むお手伝いをしてくれるのです。

2004年に北海道で誕生した木育は、今では教育や保育の現場だけでなく、地方自治体の福祉サービスなど、幅広い領域で実践されています。

子育てに“木育”を取り入れるアイデアを、東京おもちゃ美術館を運営する、NPO法人芸術と遊び創造協会の木育インストラクター・吉川美智子さんに教えていただきました。

東京おもちゃ美術館内にある「赤ちゃん木育ひろば」。ツルツルした手触りのスギコダマや木のおもちゃで遊べる、赤ちゃんも大人もリラックスできる空間。
写真提供:東京おもちゃ美術館

第1回は、“木育”の第一歩、「ウッドスタート」について、教えていただきます

赤ちゃんと木の出会いとはどんなものがよいのでしょうか。また、「ウッドスタート」にぴったりな木のおもちゃを、東京おもちゃ美術館内公式トイショップ『アプティ』の杉村美由紀さんに併せてお聞きしました。(全3回の1回目)

遊びを通じて木の文化を次の世代につなげる

北海道で生まれた「木育」は、子どもをはじめすべての人々が、木や森とふれあうことで豊かな心を育む取り組みです。おもちゃや食器など、暮らしに木を取り入れることによって環境のことを考えながら木の文化を伝え、ものを大切にする心を育みます。

最近では、子育てにも「木育」が積極的に取り入れられています。

赤ちゃんが初めて使う道具や初めて遊ぶおもちゃに「木育」を取り入れる試みが「ウッドスタート」です。

地域材を利用して、地元の木工職人が作った木のおもちゃを誕生祝い品として贈る自治体の取り組みや、保育園や幼稚園の園庭や園舎など、子どもたちが過ごす環境に木材を活用する取り組みも「ウッドスタート」の一環です。

「“ウッドスタート”は、初めて出会うおもちゃこそ、身近な地域で育った木で作ったものを使って欲しいという思いから始まりました。

また、子育てをしながら、失われつつある日本の木の文化を改めて見つめて欲しいという思いも込められています」(吉川さん)

木育インストラクターの吉川美智子さん。
撮影:森﨑一寿美

小さい頃から木に触れることで五感が育つ

吉川さんは木のおもちゃの”効能”をこのように語ります。

「木のおもちゃは手ざわりがよく、温もりがあり、温度変化に敏感な赤ちゃんも安心して長く遊べるので、集中力を高めてくれます。また、木の種類によって色や木目、匂いや性質が違い、発想力を引き出すなど、五感に刺激を与えてくれるんです」(吉川さん)

さらにこんな魅力もあると言います。

「シンプルな構造の木のおもちゃは遊び方が限定されないので、想像力も育まれます。

例えば、つみき。積み上げて何かを作るだけではなく、ぶつけて音を楽しんだり、積んでは壊したり。木のおもちゃの中には口に入れても安全なものもあるので、自由に遊べます。

子どもの成長に寄り添いながら、想像力や表現力を育む手助けをしてくれます。

そして、木のおもちゃで遊ぶことは、材料である木の文化にも興味を持ってもらうきっかけになるかもしれません。

昔は、建物は木のものがほとんどでした。家具、食器、燃料、くしや履物、服なども、木や植物の繊維で作られているものばかりです。

子どもが生まれたり、女性が嫁いだりするときには木を植える風習があったくらい、木は生活の中に溶け込んでいました。

今でも日本人は木が大好きですが、やはり昔よりは触れる機会が減っているように思います。
“木育”を通じて、ぜひ多くの人に木に触れていただきたいですね。本物の木の風合いは、フェイクのものとはまったく違うんですよ」(吉川さん)

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