「3つの親ルール」 スポーツで子どもと親が成長するための鉄則とは?
スポーツジャーナリスト・生島淳さん「幼児期のスポーツ」#3 親のサポートの関わり方
2022.01.16
スポーツジャーナリスト:生島 淳
幼児期から小学生までの間、子どもがスポーツを続けていくためには親のサポートが必要不可欠です。
とはいえ、過剰に介入してしまっては、子どもの自律的な成長を妨げてしまいます。
多くのアスリートやコーチに取材をしてきたスポーツジャーナリスト・生島淳さんに幼児期のスポーツ習い事についてインタビュー。
第3回は、スポーツへ取り組む子どもと親の適切な関わり方と、サポートする親のルールについて教えていただきました。
(全3回連載の3回目。#1を読む。#2を読む)
「声出し禁止」のスポーツ大会 そのワケとは?
「応援の声出し禁止!」。
先日取材した、とある子どものラグビーの大会で、こんな規則がありました。
新型コロナウイルスの感染対策というわけではなく、トラブルを防ぐための措置であり、子どもたちが、ラグビーのプレーヤーらしく、自分たちの頭で判断していく力を育てるのが目的、ということでした。
そしてこれは親の過剰な応援を抑制するための措置でもあるのです。
親御さんたちは、声を出して応援しているうちに、ついついヒートアップしてしまうものですからね。
ラグビーに限らないのですが、スポーツの試合中は、熱くなりすぎた親からコーチ、親から審判へ入るクレームがもとで、トラブルになることがあります。
そこで、私からスポーツへ取り組む子どもと親の適切な関わり方と、サポートする親のルールについて3つお伝えしたいことがあります。
親ルールその1 子どもに見返りを期待しない
幼児期から小学生の子どものスポーツに、親のサポートは欠かせません。
練習場や試合会場への送り迎えや練習への付き添い、練習相手などなど。
物理的に足となり、精神的にはサポートだけでなく、道具や競技用具の購入、宿泊を伴う遠征費など、お金のかかるサポートもたくさんあります。
そして、現在は減少傾向にありますが、「お茶当番」のような保護者のボランティア習慣があるスポーツやチームもあります。
ここで注意したいのは、親がのめり込んで自分の時間やお金をかければかけるほど、「こんなにやってあげているのだから」と、子どもに“見返り”を求めてしまいがちだということです。
見返りを求めていると、さきほどの声出し禁止の例と一緒で、「なんで勝てないんだ」「なんでうまくならないんだ」というヒートアップ現象が起きます。
確かに親が熱心だと、チームメンバーやコーチと意思疎通がよく取れて情報が得られたり、子どもが上達しやすい面もあります。
しかし、我が子への期待は、思った以上に過大になりがちです。
親子喧嘩になる前に。本末転倒にならないよう、気を付けたいところです。
親ルール2 声掛けはポジティブに できたことを褒める
“応援上手のアメリカ人、サポート上手の日本人”。
この言葉は、友人が日米の少年野球の親を比較した言葉ですが、うまく言い当てているなあと思います。
というのも、アメリカ人の親御さんは、「君ならできる!」、「ナイスファイト!」など、常に前向きな言葉で子どもを鼓舞します。
一方、日本人の親御さんは、細やかな気配りで、子どもが競技に集中できるようにサポートするのがとても上手です。
しかし、日本人の親御さんは、子どものサポートに夢中になるあまりに、ルール1でも出たように、「こんなにしてやっているのだからもっとがんばれ」と、子どもをなじる方向に向かってしまうケースも。
親はあくまでサポート。プレーしているのは子どもたちです。
日本人の親の細やかな気配りのサポートに加え、アメリカ人のエッセンスを取り入れて、ポジティブな応援の言葉がけができれば最高ですね。