人になにかをしてもらいたいときは？　【今日の聖書のことば】佐藤優・作家

※本記事は書籍『１日３分でやさしい心が育つ　聖書のことば』（著：佐藤優）の一部を抜粋、編集したものです。

イエスの教えは、ユダヤ教と大切にする部分がちがいます。

そのため、伝統を大切にするユダヤ教の指導者たちは、イエスの考えが人々に広まらないように、彼をとらえて処刑（しょけい）しようとしました。

このときイエスを裏切ったのが、弟子のひとりであるイスカリオテのユダです。

ユダは、とらえるためにやってきたユダヤ教の指導者たちを、イエスのところに案内します。

しかしそのとき、同じくイエスの弟子であるペトロが、イエスを守ろうと剣で相手にケガを負わせました。

そこでイエスがペトロにいったのが、このことばです。

イエスは
「暴力で自分の正義を実現したら、いつか同じように、暴力で自分の正義を実現しようとする人に負ける」
ということをいいたかったのです。

イエスはその後、実際につかまって処刑されます。

しかし、それによってより多くの人がイエスの教を信じるようになり、キリスト教が広まりました。

暴力などで無理やり相手をしたがわせようとしても、それはうまくいかない。

キリスト教の歴史そのものが、それを証明しているのです。