「想像」と「創造」のリンクが「行動」につながる
子どもの想像力は、大人の私たちが考えるよりも豊かで、力強いものです。「創造」した体験が柱となり、それまで以上に様々なことに考えを巡らせるようになります。そして、大切なのは、ただ「創造」するだけでなく、その経験を新しい「想像」にリンクさせることだと竹地さんは言います。
「例えば、先ほどお話ししたコットン栽培なら、収穫した後に、コットンがどのように『糸』になるのか、Tシャツ1枚にどのくらいの綿が必要なのかを調べて子どもと共有することで、コットン栽培という『創造』が、新たに『洋服を作る』という新しい『想像』につながっていきます」(竹地さん)
「家庭で栽培することが難しければ、保育園や幼稚園で栽培している経験を一緒に思い出して、『この野菜も保育園と同じように作っているのかな? 』と考え、話すだけでも意味があります。
子どもが体験したことを改めて意識することで、新しい『想像』へのきっかけとなります。『想像』と『創造』が互いに補完しあって、『自ら行動すること』につながっていくのです」(竹地さん)
大人は子どもの関心や可能性を「応援」する姿勢で
2021年に発表されたSDGs達成ランキング(※1)では、日本の順位は18位です。上位を占める北欧諸国と比較しても、まだまだ『十分に取り組めている』という状態ではありません。でも、まだまだ希望は持てると竹地さんは明るい表情で語ってくれました。
※1『Sustainable Development Report 2021(持続可能な開発報告書2021)』SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)、独ベルテルスマン財団
「スウェーデンでSDGsに熱心に取り組む私の知人は、こんな言葉をかけてくれました。
『日本には、SDGsの基本となる“思いやり”という言葉が根づいている。こうした意識がすでに人々の間に共有されていることは、大きな意味がある。今後、SDGsへの取り組みが飛躍的に前進する可能性を感じる』
『思いやり』の他にも、『お互いさま』『もったいない』『おかげさま』など、日本人が古くから大切にしてきた精神性や言葉は、エシカルという考え方と高い親和性があり、SDGsにも通じるといえます。だからこそ、一人一人ができることから始め、楽しみながら続けていくことができれば、大きな成果につながると考えています。
この連載では、みなさんの取り組みのヒントになればと、いろいろな取り組みを紹介しましたが、全部取り組む必要はありません。
まずは子どもが楽しい! と感じたことを深めていってください。
そして、子どもが少しでも興味持ち、行動することができたら、認めて、応援してあげてください。一つ一つは小さなことに思えても、それが『世界を変える』ことにつながっています。そして、そんな子どもの存在そのものが素晴らしいということを、たくさん伝えてあげて欲しいのです。
親が子どもの可能性を信じることが、子どものなかの『種』を大きく育てることにつながっていきます。
子どもの『種』を育てながら、私たち親も一緒に学び、取り組んでいくことで、子どもたちが生きる未来を、誰もが心地よく生きられる『エシカルでサステナブルな社会』をつくっていきましょう」(竹地さん)
SDGsの目標を達成していくためには、「身近な暮らしに目を向けて、楽しむ」という視点が大切だとわかりました。難しく考えず、「やりたい」と思ったことから始めていきましょう。一人ひとりのちょっとした行動が、子どもたちの「明るく豊かな未来」につながっていきます。
取材・文/川崎ちづる
竹地 由佳
たけちゆか 一般社団法人エシカル協会 理事。 宮城県仙台市出身。大学卒業後、銀行に就職し、個人営業を主に担当。行員向けの環境ボランティア企画にも携わる。2011年の東日本大震災をきっかけに、エシカルな仕事をしたいと決意。東北地方の復興事業やアメリカでのボランティア活動などを経て、2015年に一般社団法人エシカル協会の立ち上げから従事。エシカル消費の普及啓発の活動をしている。二児(5歳と2歳)の子育て中。
たけちゆか 一般社団法人エシカル協会 理事。 宮城県仙台市出身。大学卒業後、銀行に就職し、個人営業を主に担当。行員向けの環境ボランティア企画にも携わる。2011年の東日本大震災をきっかけに、エシカルな仕事をしたいと決意。東北地方の復興事業やアメリカでのボランティア活動などを経て、2015年に一般社団法人エシカル協会の立ち上げから従事。エシカル消費の普及啓発の活動をしている。二児(5歳と2歳)の子育て中。