日本は近視対策に後れをとっていますし、日本人は、目に関するリテラシーがまだまだ低いな、と感じています。
いわゆる「スマホ育児」と言って、公共の場で子どもにスマホを持たせ動画などを見せておく場面をよく目にします。静かにしてほしいシーンなどで、紙の絵本などを渡しておくより、子どもの意識を集中させることができるから便利なのでしょう。
でも、こういった「スマホ育児」は、私が住んでいたアメリカではあまり行われていませんでした。子どもにはスマホを持たせない、という親も多くいました。
これは目に関するリテラシーが高いからだと思います。デジタル機器は依存症になりやすく、長時間の近見作業が目に悪影響を及ぼすことがしっかり認知されているのです。米国眼科学会が推奨する「20‐20‐20ルール」が広まっています。デジタル画面を20分見たら、20秒間、20フィート(約6m)離れたところを眺めるというルールです。
国民がいかに物事に対しての科学的な理解を持っているのかが、子どもたちの健康や教育に関わってきます。
ですから、「スマホやタブレットを見るなら読書を」ではなく、「20分デジタル画面を見たら、20秒は遠くを見なさい」のほうが適切な声掛けです。
デジタルデバイスとどう付き合うのか?
とはいっても、子どもたちの生活からスマホやタブレットを切り離せないのも事実です。デジタルネイティブとして生まれた子どもたちにとって、これからの人生にも欠かせないデバイスでしょう。
でも、成長期はスマホを始めとした近見作業はなるべく遠ざけておくのが賢明です。与えるならばルールを設けて制限しましょう。
実は、台湾では10年も前から画期的な近視抑制政策が実施されており、子どもたちの目に良い活動の成果が認められています。
次回は、「近視の予防と抑制」についてお話しします。
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取材・文/遠藤るりこ遠藤 るりこ
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
窪田 良
慶應義塾大学医学部卒業。同大学大学院在学中に緑内障原因遺伝子「ミオシリン」を発見、「須田賞」受賞。 虎の門病院勤務を経て、2000年から米国に拠点を移し、ワシントン大学医学部眼科学教室助教授就任。2002年に創薬ベンチャー・アキュセラ、2016年に窪田製薬ホールディングスを上場。 「世界から失明を撲滅する」ことをミッションに掲げ、眼疾患に関する研究開発を行う。近著に、『近視は病気です』(東洋経済新報社刊)。 ・窪田製薬ホールディングスHP ・クボタグラスHP
慶應義塾大学医学部卒業。同大学大学院在学中に緑内障原因遺伝子「ミオシリン」を発見、「須田賞」受賞。 虎の門病院勤務を経て、2000年から米国に拠点を移し、ワシントン大学医学部眼科学教室助教授就任。2002年に創薬ベンチャー・アキュセラ、2016年に窪田製薬ホールディングスを上場。 「世界から失明を撲滅する」ことをミッションに掲げ、眼疾患に関する研究開発を行う。近著に、『近視は病気です』(東洋経済新報社刊)。 ・窪田製薬ホールディングスHP ・クボタグラスHP