特別展『大絶滅展』 国立科学博物館では初!「ビッグファイブ」がテーマ

【親子でおでかけ】迫力の化石&模型が見どころ (2/4) 1ページ目に戻る

「大絶滅」を通して学べること

生命が誕生してから40億年の間に、地球上では幾度も生命の危機が訪れました。

中でも規模が大きかった5回の「大量絶滅」事変(通称「ビッグファイブ」)にフォーカスを当て、化石・岩石に残されたさまざまな証拠をもとにその詳細を紐解き、絶滅が地球に何をもたらし、そしてどんな進化を促したのかを探っていく試みが、今回の特別展です。

ちなみに「ビッグファイブ」をテーマとする特別展が、国立科学博物館で開催されるのは、初めてのこと! どんな展示内容になっているのか、期待が高まります。

▲特別展『大絶滅展-生命史のビッグファイブ』総合監修の矢部淳さん(左)と、スペシャルナビゲーターの福山雅治さん(右)
▲特別展『大絶滅展-生命史のビッグファイブ』総合監修の矢部淳さん(左)と、スペシャルナビゲーターの福山雅治さん(右)
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報道発表会では、本展覧会の監修を務めた10名が登場。監修者を代表して、総合監修の矢部淳さんが挨拶を述べました。

「大絶滅、あるいは絶滅と聞くと、ネガティブな印象をもつ方が多いのではないかと思います。もちろん、そういう側面もありますが、今回の展示では大絶滅を通して、生き残った生き物がその後の世界で多様に繫栄し、その結果として現在の多様な世界があるということを紹介したいと思い、展示を作ってまいりました。今回の展示では、その最新研究を紹介しています」と矢部さん。

この10名のチームで4年間、展示に向けて取り組んできたとのことで、とくにこだわったのが、エビデンスも含めてしっかり紹介するという点だったそう。

福山雅治さん 子どもたちへのメッセージ

報道発表会には、展覧会のスペシャルナビゲーター福山雅治さんも登壇。福山さんは音声ガイドでナビゲーターを務めるほか、展示映像の一部にも、ナレーターとして出演しています。

NHKの超大型自然番組『ホットスポット 最後の楽園』の番組ナビゲーターとして、世界をめぐってきた福山さん。15年にわたって、絶滅の危機に瀕する野生動物たちの姿を追い、その生態や進化の不思議を見つめてきました。

柔らかな微笑みを浮かべて報道陣に一礼した福山さんは、司会者から自然に関心をもつようになったいきさつを尋ねられると、

「母方の祖母がみかん畑をやっていました。彼女は農家の祖父のところに嫁いできてから農家をやるようになったのですが、5人の子どもを産んだ後、祖父が早くに他界。彼女は不慣れな農業を引き継ぐしか生きる術がなく、みかんのほかに米なども作り、牛も飼っていました。土間や囲炉裏があり、木炭を使う祖母の暮らしを見て、子ども心に『とてもいい環境だな』と思うと同時に『生きていくというのは楽ではないな』とも感じていました」

とエピソードを披露。

「僕にとって自然は、遠くにあるとても美しいものであると同時に、生きていくには非常に大変な場所という考えがあります」

と、自身の自然観を述べました。

▲福山さんが自ら撮影した写真も紹介された。12月、1月に放送予定の『ホットスポット 最後の楽園』最新作のため、ガラパゴス諸島への旅で撮影したばかりもの。
▲福山さんが自ら撮影した写真も紹介された。12月、1月に放送予定の『ホットスポット 最後の楽園』最新作のため、ガラパゴス諸島への旅で撮影したばかりもの。

本展の第二会場では、福山さんが『ホットスポット』の旅で撮影してきた写真の中から、厳選した27枚を展示。各写真には福山さんによるキャプションも添えられており、被写体に寄せる彼の想いを感じ取ることができます。

福山さんは

「年齢を重ねると、自分は何のために生まれ、どう生きて、どう死ぬのかを考えるようになります。自分が今回の人生で担わせてもらえる役割とは何かを考えたときに、祖母は自然という環境を“舞台”に、みかんなどさまざまな“作品”をずっと作っていた“アーティスト”なのかな、と自分の中で解釈していて。僕が携わっているエンターテイメントや創作活動は、祖母の生活・生き方に影響を受けていると思うので、自然と人間の関係性を伝えていくのが僕の役割のひとつかなと思っています」

と語りました。

音声ガイドの収録にはかなり力が入ったそうで、その収録時間はなんと5時間越え!

「ラジオドラマのような感覚で、楽しんでいただけるのではないかと思っています。僕のほかに矢部先生や三上(智之)さん[国立科学博物館 生命誌研究部 日本学術振興会 特別研究員PD]の解説、さまざまな効果音が入っていますので、音声だけでも想像が広がると思います」

と熱を込めてアピール。

最後に『大絶滅展』を訪れる子どもたちに向けて、福山さんから次のようなメッセージが贈られました。

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「『大絶滅展』を見に来るお子さんの中には、『なぜ勉強しなければならないのか』『なぜ学校に行かなければいけないのか』といった想いがある方もいるかもしれません。

しかし、皆さんに与えられている“学べる”という環境は、実は世界でも稀なもの。

僕は『ホットスポット』の旅でさまざまな国に行かせてもらっていますが、世界には貧困や差別、断絶があり、学習が叶わない子どもたちもいます。

そんな中、義務教育として学校に行ける、学べるというのは非常に恵まれた環境なのだということに、気づいてもらえたらいいですね。

『大絶滅展』を見て『(絶滅を)ちょっと怖いな』と感じたときに、『大好きな人たちと生き残るにはどうすればいいかな?』『生き残るために、頑張らなきゃ!』という前向きな気持ちになってもらえたら」


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