
4人家族で1LDKもある【都心部住宅事情】 それでも思春期の子どもに「1人空間が必要」な理由〔一級建築士が解説〕
「家が狭い!」ファミリーを救う“間取り改造”計画【1/3】~パーソナルスペースの必要性~
2025.05.14
一級建築士、模様替えアドバイザー:しかま のりこ
子どもだけでなくママも自分の空間がほしい
しかしながら、狭い家に子どもと住み続けると、さまざまな問題が発生します。
「たとえば、次のような悩みをよく聞きます。『狭すぎて学習机を置くことができない』『リビングの喧騒の中では勉強に集中できない』『収納スペースが足りず、学用品などがリビングに散乱』『“だれが片づけるか”でケンカが絶えない』──。
とりわけ深刻なのは、部屋数が不足することで、とくに10歳前後から始まる思春期の子が安心して一人になれる場所、つまり“パーソナルスペース”がないことです」
それは子どもに限らず、最近では、ママからも「1人になれる空間が欲しい」という切実な相談を受けることが増えているといいます。また、コロナ禍以降で顕著に増えたのが、在宅ワークになったパパが1部屋を仕事部屋兼寝室として独占するというケースです。
「たとえば2LDKでパパが1部屋を使っているため、残り1部屋でママと異性のきょうだい3人が一緒に寝起きせざるを得ないご家庭も。中には、大学生や中高生といった年ごろの異性のきょうだい2人とママが、同じ部屋で寝ているケースもあります」
パーソナルスペースがなかったらどうなる?
子どもが本格的な思春期に突入する中学生以降になっても、安心して一人になれる場所がない場合は問題が起こりやすいと、しかまさんは考えています。
「以前、学校の先生に『最近、お子さんの様子が不安定だ』などと指摘されて初めて中学生の息子さんの異変に気づき、私のもとに『パーソナルスペースを作りたい』とご相談に来られたケースがありました。
実はそのご家庭では、息子さんが赤ちゃんのころから中学生になったご相談当時までずっと家族4人で川の字で寝ていたそうです。意外と、こういうご家庭は多いんですが、そのお母さまは学校の先生に、『それは絶対にダメ、狭くてもいいので必ず自分のスペースを作ってあげて』と指導されたそうです」