子どもに口出ししない? 夏休みを賢く乗り切る「ルール」の作り方・守り方を専門家が伝授

「こどもクリエ塾」代表・遠藤奈央子氏に聞く、夏休みの上手な乗り切り方 前編 子どもに主体性を持たせるルールの作り方

「こどもクリエ塾」代表:遠藤 奈央子

今年の夏休みは、子どもとどのように過ごしますか?  写真:アフロ

2023年の小学校の夏休みももうすぐ! ただ、子どもは夏休みを迎えますが、共働きをしている人、在宅ワークをしながら子どもを見ている人、子育てに専念している人など、親の状況は各家庭でさまざまです。

いつもより長く家で過ごす子どもの姿を見ると、「自由研究はいつやるの?」「絵日記は?」「ゲームばかりでだらだらしないの」など、つい口を出したくなるもの。
親子でストレスを溜めずに、夏休みを上手に乗り切るにはどうすればいいのでしょうか。

そのヒントを探るべく、今回は『自分でできる子に育つ 放課後時間の過ごし方』の著者であり、民間学童「こどもクリエ塾」代表・遠藤奈央子氏にお話を伺いました。

(全2回の1回目)

遠藤奈央子
(えんどう・なおこ)

民間学童「こどもクリエ塾」代表。社会福祉士。
2011年4月民間学童保育「こどもクリエ塾(ビル・ゲイツ氏財団エドビジョン型プロジェクト・ベース学習を導入)」設立。
現在、表参道・白金台・茗荷谷・四谷・日本橋で5校を運営。直接指導した子どもは延べ2000人を超える。

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夏休みの勝敗を分ける「ルールづくり」

──これから始まる夏休みを、親子でうまく乗り越えるために、何かできることはありますか。

遠藤奈央子さん(以下、遠藤さん):まずは、事前に夏休みのルールづくりをしておくことですね。

ルールがあるのとないのでは、夏休みの勝敗を分けるといってもいいほど。夏休みが始まる前に「全体のスケジュール」と「一日の過ごし方」を子どもと一緒に話し合っておきましょう。

今の時期ですと、家族旅行やサマーキャンプ、祖父母宅への帰省、学童、塾、習い事など、すでに夏休みの予定を決められているご家庭は多いと思います。

そうした全体のスケジュールがある中で、
「学童に行く日は朝8時に家を出るから、夜は何時までに寝よう」
「午前中に宿題をして、午後は自由に過ごそう」
「自由研究はいつまでにしよう」
「ゲームは1日○時間までにしよう」

というように、1日の過ごし方を話し合っておくんです。

なぜ、ここまで具体的にルールを決めておく必要があるのかと言いますと、それは子どもが自分で何をすべきか考えて行動できるようにするためです。

夏休みだからといって、ルールを決めずにその日の気分で毎日過ごしていたらどうなるでしょうか?

親は「いつになったら自由研究するの?」と聞いたり、宿題が進んでいないときは「そろそろ宿題に手をつけたら?」と注意をしなければなりません。これでは、親も子も相当なストレスが溜まりますよね。

ところがルールを決めておくと、「あと5分で宿題の時間だよ」など、前もって予告してあげるだけ。予告は、注意や指示とは違い、子どもは次の行動に移りやすくなります。

また、自分で計画したことなので取り組みやすく、「やればできる!」という達成感が得られ、子どもの自己肯定感も上がります。子どもの自律を促してあげることがポイントですね。 

──つまり、子どもの主体性を引き出すわけですね。

遠藤さん:そうです。そういった意味では、例えば夏休みに家族旅行をされるご家庭も多いかと思いますが、親がプランを決めるのではなく、子どもと一緒に計画を立てることもおすすめですね。

子どもに、旅の計画表やしおりを作成してもらって、実際に旅先でもアテンドしてもらうんですよ。
「今からお昼の時間です」、「これから○○を見学しますよ」といった具合に。

訪問先での見学についてでも同様です。ただ一方的に何かを見るのと、自分が訪問先を選んで、下調べをしたうえで見るのでは、子どもの体験の効果も違うでしょう。

もちろん子どもの年齢にもよりますが、子どもが主体的に好奇心を持って取り組むことでより旅を楽しめますし、おうちに帰って旅行記としてまとめれば、自由研究の題材にもなりますよ。

家族間でルールを統一しておく

──とはいえ、夏休みのルールを作っても、実際にはルールを守ることは難しいのではないでしょうか?

遠藤さん:大切なのは、家族間で子どもに対して言動が異なっていたり、その時々の気分で対応を変えてしまわないこと。ママパパで言うことが変わってしまうと、子どもは約束を守らなくなってしまうんです。必ず、家族間でルールを守るように心がけてください。

あとは、ルールを守れないときのペナルティも事前に相談して決めておきましょう。約束を守らなかったら、「いつものおやつはないよ」とか、「○○は買わないよ」など。

その逆で、スケジュールどおりに取り組むことができれば、ご褒美も必要です。お気に入りのシールを貼って、目標までポイントが貯まったらご褒美がもらえるという方法も効果があります。

ペナルティも、ご褒美も、どちらも「外発的動機づけ」のため、自分の内側からやる気を高めているわけではありませんが、生活リズムを身に付けるという意味においては有効なアプローチになりますし、子どもも決めたことをやりとげた自信にもつながります。

ルールで決めたこと(約束したこと)さえしっかりできていれば、あとは子どもの好きに過ごしていいと私は思っています。

──メリハリが大事だということですね。一方で、夏休みのルールを決める上でゲームとの向き合い方に悩まれている親も多いと思います。

遠藤さん:ゲームをやることに関して、私は否定していません。例えば、問題解決力や競争心などはゲームを通して育めるようにしっかりと設計されているものが多いですから。

問題なのはゲームに費やしてしまう時間ですよね。気づけば沼のようにハマってしまいます。

それを改善させるためには、2つのアプローチがあります。1つは大人が強制的に「○時間だけだよ」や「○○ができたらね」などルールを決めてしまうこと。

もう1つは、「今日はここまで目指そうよ」「どこまでできたの?」「なんでクリアできないの?」と親がぐいぐいとあえて干渉してしまうことです。これは親がゲームの目標を決めて、ゲームをコントロールしてしまい、子どもは逆に冷めてやめるという荒療治です。

このように親が強制して目標を管理してしまうと、子どもはかえってやる気をなくしてしまいます。ところが、多くの親御さんは、ゲームではなく子どもの勉強や習い事、毎日の過ごし方に口を出してしまいがちですよね。それが子どもの自主性を奪うことにもなるため、気を付けたいところでもあります。

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